ブラジル特報2017年1月号

『世界の豆料理』 (執筆者:長谷川律佳、池田愛美ほか)

世界の豆料理: 中東、アフリカ、米大陸、ヨーロッパ、アジアの郷土色あふれる120のレシピ フェイジョアーダやアカラジェのうまそうな写真を眺めては涎を垂らしそうになる人にお薦めの、豆料理図鑑だ。中東、アフリカ、米大陸、ヨーロッパ、アジアの郷土食あふれる120 のレシピに要領よい解説と写真が並載されており、アーブグーシュト(イラン)、カスレ(南フランス)、コズィード(ポルトガル)、ファバーダ(スペイン)、フェイジョアーダ(ブラジル)の共時的類似性を再発見しながら、豆料理の豊饒さを確認することになる。

誠文堂新光社
2016年10月 240 頁 2,800 円+税

『大統領の冒険』 (C・ミラード著、カズヨ・F 訳)

大統領の冒険 (ルーズベルト、アマゾン奥地への旅) 探検家としても有名な、米国第26 代大統領セオドア・ルーズベルト(1858-1919)が、再選に敗れ、1914 年アマゾン奥地での「謎の川」調査行に出かけて死に損なったことは、比較的知られている。本書はノンフィクション作家による、このアマゾン探検物語の再構成で、読み出すと引き込まれる面白さだ。ただ残念なことに、翻訳はイマイチ、
地名・人名の基本的なチェックすら出来ておらず、読者は誤記の連鎖に苦笑いしながら読むハメに。

エイアンドエフ
2016年4月 478 頁 2,600 円+税

『六十八歳の青春裸像』 (奥瀬純一著)

六十八歳の青春裸像 鉱山王が、なぜ七人の女房に逃げられたのか、というサブタイトルのドキュメンタリー作品だが、ブラジル北部・東北部のパラー州、ゴイアス州、バイーア州などで20 数年にわたる宝石採掘業で財をなした主人公のお話だ。七人目の女房エリカとの出会いを中心に小説タッチで書かれているが、主人公の中里貢一には実在のモデルがいる由。荒唐無稽なお話やラブストーリーが展開されていくが、大衆小説の如き読後感が残る。

メディアパル
2016 年8 月 270 頁 1,300 円+税

『海のリテラシー』 (田中きく代、阿河雄二郎、金澤周作、編著)

海のリテラシー:北大西洋海域の「海民」の世界史 複数の歴史学者による大西洋海域史論集であるが、「北大西洋海域の文化共同体」の多様性を明らかにすべく、奴隷貿易、貿易商人、黒人船長、漂流譚などの事例研究を論述している。第4 章、海運業界紙の市況展望、では19 世紀前半の中欧オーストリア帝国の貿易を明らかにしているが、主要貿易相手国第5 位がブラジル(主要品目:コーヒー、
砂糖)で、8 位の米国よりも貿易額が大きい。ちなみに1 位はイギリス、2
位トルコ。

創元社
2016 年8月 316 頁 3,400 円+税

『ブラジル日系移民の教育史』 (根川幸男著)

ブラジル日系移民の教育史 100 年以上にわたってブラジル各地で行われてきた日本語教育の実相を歴史社会学の視点から解明した超労作である。教育史をマクロで捉えてから、いくつもの事例を詳細に検討していく。初期の日系教育機関であった大正小学校、聖州義塾の実態を明らかにし、代表的教育者、小林美登利、岸本昴一、両角貫一の生涯を掘り起し、子供(生徒)
たちの視点から日系教育を見直している。出色のノンフィクション作品としても読める学術書だ。

みすず書房
2016年10 月 632 頁 13,000 円+税