葡萄ジュースよりもワインの方が安い街がある。私が気に入った地物の白ワインは4.5 リットル30 レアル。濃縮還元では無い、100%果汁の葡萄ジュースは1リットル7~ 20 レアル程で売られているから、ワインの方が安いではないか!それもそのはず、ここカシアス・ド・スール市は葡萄、そしてワインの一大産地。ワイン好きなイタリア系移民が多く暮らす街だけあって、食卓には昼間でもワインが並ぶ家も多い。ワイン醸造所は至る所にある。この街
はブラジル最南端に位置し、夏場は暑すぎず日照時間が長いため、葡萄の生育に適している。また、標高800 m程度の高地にあるので昼夜の寒暖の差が大きく、より甘い葡萄ができるのだ。街の至る所に葡萄の木が植わっているし、葡萄農場を持っている人も沢山いる。ここでは2年に1度、葡萄祭りが盛大に開催される。100 万人程度が訪れるというこの祭り、ワインや葡萄を扱う企業が沢山出店していて、葡萄は食べ放題だという。残念ながら2017 年は開催年ではなく、次回は2018 年2月22 日から3 月11 日にかけて開催される予定なので、ワインや葡萄が好きな方は是非。
そして、カシアスの見どころは葡萄だけではない。美しい教会が沢山ある。中でも一番有名で歴史があるのは、サンペレグリノ教会だ。外観は真っ白。門は重厚な銅製で、ひしめき合う船、人、馬など、イタリアからブラジルへの移民を題材にし
た彫刻がされている。イタリアの芸術家によって作られ、ローマ教会から寄贈されたものだ。たか
が門、されど門。構想から完成まで14 年もかかった大作なのだ。重さはなんと7トンもある。それゆえ、その開閉にはモーターを使う。門だけでも見に来る価値があると思う。内部は壁も天井も絵で埋め尽くされており、イタリアのシスティーナ礼拝堂を思い起こさせる壮麗さだ。内部の絵は、イタリアの絵師を呼んで描かせたものだそう。見渡す限り美しい絵でいっぱいだが、教会奥の天井に描かれた「最後の審判」は、その絵の真下に立って見上げて欲しい。光り輝きながらこちらに迫ってくるように見え、すごい迫力だ。

 

中妻由紀
(ブラジル日本交流協会 16 期研修生)