サンタカタリーナ州の沿岸都市カンボリウは、コスモポリタン精神を有する保養地として知られる。オフシーズンの人口は13 万人ほどだが、夏のピークシーズンになると観光客が多数到来するため100 万人に達するほどだ。観光客というと、ブラジル各地からはもちろん、アルゼンチン、チリ、パラグアイといった南米諸国のほか欧州各国からも多い。
カンボリウの社会インフラは整っており、交通事情、公衆衛生、治安、いずれも不安はない。昼間であれ夜であれ、時間帯に関係なく、街の中を安心して散策できる。
最大のチャームポイントは、美しい砂浜が10 以上もあることで、そのなかにはヌーディスト・ビーチもある。
なかでも観光客がお目当てのセントラル・ビーチは、くびれた湾の形状をした海岸線と静かな海で知られるが、内側には大西洋森林帯が広がり、その豊かな生物多様性を象徴する、ブラジルの国鳥ツカーノ(オオハシ)も見られる。隣のラランジェイラス海岸とつなぐロープウェーのゴンドラからみる絶景は、見る者をしびれさせる。ウインドーサーフィンのような水上スポーツも盛んだ。
観光客をあたたかく歓待するカルチャーを有するカンボリウ住民の多くは、実は、地元出身ではなく、ブラジル各地から移住してきた人たちだ。住民であった筆者の知人の出身地をみても、リオグランデ・ド・スール、サンパウロ、ミナスジェライス、バイーア、ペルナンブーコ、リオ、と多彩だ。近年急成長したカンボリウの特徴の一つが、モダン建築群であり、特に170 メートル以上の超高層ビルが、建設中のものも入れると6 棟もある。こうした新摩天楼はブラジル全土で10 棟しかないので、その6 割がこの街に集中しているわけだ。土地のスペースが限られているためマンハッタンの如くビルが高層化することになったのだが、“副産物”としてビル風や日照権問題が深刻化しているのも現実だ。

ヴィクトル・ファルボ
(ニアグロ社営業マネジャー)