201111月号>

 “JAPAO  MINI ENCICLOPEDIA DO JAPAO”(日本小百科ブラジル語版) 日本・ブラジル文化交流実行委員会

 日本人ブラジル移民100周年を契機に、次世代を担う子供たちに日本への理解をより深めるために刊行された「子どものための日本小百科」ブラジル語版。概説、地理、歴史、文化、産業、暮らし、歳時や遊び、食べものなどと、地方ごとの特色などを総合的にブラジル語の解説と多くのカラー写真で紹介した素晴らしい事典。
10,000部作成され9,000部がブラジルで配布されているが、日本でもブラジル人が多くいる地域の自治体、図書館、学校などでも大いに有用な必備基本書。

(日本・ブラジル文化交流実行委員会 20113 264頁)
協会では実行委員会に協力して頒布を行います。入手ご希望は協会事務局へメール、Faxで。頒布価4,000円(実行委員会・協会活動への寄付・協会事務手数料および送料込み)。

『グローバル化の中で生きるとは -日系ブラジル人のトランスナショナルな暮らし』 三田 千代子編著

日系ブラジル人の就労に関わる日本企業の雇用政策、特に集住地での地方自治体の対応、子弟教育、移動にともなうアイデンティティ形成、宗教生活、在日ブラジル人と在日ペルー人との生活戦略の違い、在日第二世代のホームランド選択と受け入れるホスト社会の問題点を、大学の研究者と地方自治体や公益法人で対応している
10人の専門家がアンケート調査も含め考察。

(上智大学出版発行 ぎょうせい発売 201110月 332頁 1,905円+税)

『ブラジル文学序説』  田所 清克・伊藤 奈希砂

 ブラジルの歴史からブラジルの文学が欧州の模倣とその影響、独自の境地を切り開いて数々の優れた作家を生み出してきた歴史と特色、変容から文学と映画・テレビに至るまでの展開を詳細に解説したブラジル文学小史と、アレンカール、マシャード・デ・アシス、ジョルジェ・アマード、グラシリアーノ・ラーモスという
4人を選んでの作家論、巻末の文学史年表、日本での主要翻訳作品案内とポルトガル語・日本語索引とともに、ブラジル文学の概観を知りたい読者には便利な解説書。
(国際語学社 20116月 320頁 2,500円+税)

カシオ電子辞書 EX-word XD-B7800 ポルトガル語

 初級者から専門家まで役立つコンテンツを収録したわが国初の辞書。現代ポルトガル語辞典、現代葡語辞典、コリンズ葡英・英葡辞典や「ゼロから始めるブラジル・ポルトガル語」などポルトガル語5コンテンツに英和・和英、国語、百科、図鑑、旅行会話等67ものコンテンツを収録していて、蓋を開ければすぐ起動し使い勝手も良い。カラー画面で大きさは140×105.5×19.7cm、電池
(3アルカリ2本、連続最長130時間駆動)込み重さ約300g

(カシオ 20119月発売 44,800円 詳細はhttp://casio.jp/exword/products/XD-B7800/


2011 9月号>

『ブラジル経済の基礎知識 第2版』 二宮 康史

 200711月初版の改訂版。マクロ経済、貿易、成長する消費市場を検証し、ルーラ政権の実績とルセフ政権の課題を概観するとともに、自動車、電気、食料、資源といった主要産業の成長可能性、ブラジル企業の国際化動向、外交・通商政策の現況と、税務・会計、労務、会社設立、資金調達と対外送金、知的財産権等の実務知識についても解説。

(ジェトロ 20117月 290頁 1,600円+税)

『ブラジルの民族系民間企業 -経済成長下、力をつける企業アクター』 国際貿易投資研究所編

 経済を支えるアクターとして、急速に存在感を増している民族系企業の概要、活動分野と規模、世界金融危機後のブラジル企業動向と政府の育成産業分野を概観し、近年国際化が著しいブラジル企業の海外戦略を、具体例を挙げて概説している。国際化意欲をもった主要32社からなる「企業ファイル」は企業名、所在地、上場市場、売上高、自己資本、沿革、国内および海外事業活動、経営の特色、主な子会社群を一覧できる表に整理した有用なデータ。

()国際貿易投資研究所 20113 61頁 2,000円+送料 -申し込みはFax 03-5561-7961へ)


2011 7月号>

『南アメリカの街角にて -青春随想録』  和田進

 著者は石川島播磨重工業(IHI)でレシーフェでのポルトガル語研修とリオデジャネイロでの同社合弁事業ISHIbrAS造船所での研修を体験した。退職後、自分史の一部としてかつて滞在したブラジルの実情と南米の素描を、あらためて多くの文献を読み解き纏めたもの。ブラジル人に気質や主要都市の紹介、南米6カ国の歴史、文化、現状とそれぞれの問題などを詳しく解説している。
(東洋出版 201010月 290頁 1,600円+税)

『ブラジル人生徒と日本人教員の異文化間コミュニケーション』
 西田 ひろ子編著

 ブラジル人集住地域の一つ静岡県西部での調査データに基づき、公立小学校でのブラジル人児童と保護者、教員、周囲のボランティアや通訳者が抱える問題点と解消策、就学問題などを分析し、異文化間コミュニケーション問題解消のためのトレーニング・プログラムを提唱している。

(風間書房 20112月 245頁 2,800円+税)

『新ベーシック ブラジルポルトガル語』 深沢 暁・和嶋 千歳エレナ

 ブラジルポルトガル語の発音、文法、サンパウロでのホームステイを題材にした会話とそれぞれの練習問題により、今使われているポルトガル語の実際の用法を学び取れるようになっている。巻末に1,600語の基本単語リストとCD教材も付いている。
(東洋書店20115 297 3,600円+税)


2011 5月号>

『ブラジルの流儀 -なぜ「21世紀の主役」なのか』  和田 昌親編著

 ブラジルはつい10余年前まででハイパーインフレと対外債務問題に代表される“経済破綻の国”だったのが、今や21世紀世界の主役になるのではといわれるまでに成長し、風格ある大国に変わろうとしている。「今のブラジルはどういう国なのか?」、それを様々な切り口の「なぜ~なのか?」という
67の設問に著者(元日本経済新聞サンパウロ特派員)なりに簡略に、明解に答えている。ブラジルの国民性の基である社会・生活、日本と異なるビジネス常識を知る上で有益な経済・産業、“ブラジル流とは?”の背景である文化・歴史、常に世界トップグループにあるサッカーの強さの秘密、開発途上国なのか先進国なのか、両方の顔をもつ独自の政治・外交に至るまで網羅している。

ブラジルへ旅行し、住んでみると身近にもある疑問をはじめ、ブラジル専門家にも、長く関わってきた事情通でもなかなか即答できない広範囲なテーマを解いていき、読者に“ブラジルの流儀”を知ってもらおうという意図で纏めており、ついつい面白がって個々の
Q&Aと4つのコラムを読み進めているうちに、ブラジルの実情への理解が進む趣向になっている。

(中公新書 20112月 252頁 820円+税)

『ポ日英医学用語辞典』  セルジオ・隆三・土肥編著 二宮正人編訳

 総語数約2万語を収録。ポルトガル語から日本語・英語の第1部(627)と日本語からポルトガル語を引く第2部(230)から成る。日本語はいずれも漢字とローマ字を並記していて、難しい術語も読めるようになっている。
 40年も前に肝臓移植をやり遂げた土肥博士が、10数年にわたって編んだ3カ国語辞典を、博士の急死後に遺族の懇請で弁護士である訳者が大幅に新用語の取り込み、編纂・監修を行ったもので、出版に至るまで大変な困難がともなったと思われる労作である。在日ブラジル人就労者支援活動を長く行っている訳者だけにそれらの人たちにも使いやすい工夫がなされており、ブラジル・日本で医療・保健・介護等に従事する人たちにとって大いに有用な辞典となろう。

20101月 サンパウロ 861頁 -当協会で受託販売中9,000円(税込)+送料。お申し込みは協会事務局へ。内容見本は協会HPの「協会刊行物」ご参照)

『援協五十年史 19592009』 援協五十年史編纂委員会

 サンパウロを中心に日系人の福祉・医療事業を行っている日伯援護協会50年の歴史を取り纏めたもの。
戦前・戦中に始まった移住者の援護活動を受け、戦後初期移民援護のために「日本移民援護協会」が設立され、次第に福利・医療部門が拡充されてボランティアの支えもあっていろいろなサービスを発展させ、結核患者増大に対処したカンポス・サナトリオ(療養所)の今昔、老人・厚生ホーム、社会復帰センター、そして今なお中心事業の日伯友好病院の建設、日系社会の高齢化にともなう特別養護ホームや自閉症教室の開設などが詳述されている。将来に向けて福祉センター、総合診療所の建設を進め、課題として高齢化問題と日本への出稼ぎ者増大にともなう日系社会の空洞化と日系子弟の日本定住、日系社会の安定を挙げていて、ブラジル日系社会史の有用な史料にもなる。

(サンパウロ日伯援護協会 20109月 296頁 非売品 問い合わせは sede@enkyo.org.br
へ)


2011 3月号>

『ブラジル ナショナルジオグラフィック世界の国』 ザイラー・デッカー

 小中学生を対象としているが、ブラジル・英米の専門家が執筆・監修した地理、自然、歴史、人と文化から現在の政治経済までの簡潔な解説と、ナショナルジオグラフィックならではの良質の写真と地形、生態系、歴史、人口、行政の1頁大のテーマ別地図が多く取り込まれ、児童書としてでなくとも有用な基本的参考書。

(ほるぷ出版 201012月 64頁 2,000円+税)

『南米日系人と多文化共生 : 移民100その子孫たちと現代社会への提言』福井千鶴著

 現代の日本人の移住地や日系人社会の様相、若者の空洞化、後継者問題などを、南米各地の移住地、日系人社会を取材し、ブラジルとスペイン語圏を比較しつつ衰退する日本人移住地、日本と南米日系人社会との連携などの諸問題と解決策を提言している。欧州各国はもとより中国や韓国も、自国出身の移民が長い間積み上げた緊密な人間関係と人材を生かすことを、国も企業も国際戦略として進めている。本書の意図は、日本に来た契約労働者の南米日系人が南米日系人のすべてではないこと、現地の日系人社会、日本人移住地の様相を理解し、日本での「多文化共生・より良い共生社会つくり」と「南米と日本の架け橋つくり」を進め、現地日系人社会が発展することにあるとしている。著者は日本大学国際関係学部准教授。

(沖縄観光速報社 20105 296 2,000円+税)

『ブラジル日本移民百年史 第3巻(生活と文化編1)』 ブラジル日本移民百周年記念協会

 日系文学、邦字紙メディア、教育、女性、食文化のそれぞれの歴史など、これまでの移民史ではあまり重視されていない社会史を取り上げている。移民史や現代史から最新の方法論を移入し、日系移民の歴史に新たな頁を開くものといっても過言ではない。詳しい評価は、本誌10頁の文化評論参照。なお、百年史シリーズは、日本移民史に関わる貴重な写真200枚余を収録した写真集の別巻『目で見るブラジル日本移民の百年』が既刊で、これに続き第1巻「総論」、第2巻「地方・地域史」、第4巻「分野別通史」、第5巻「資料編」が刊行されることになっている。それぞれが各世代の研究者、移住生活の経験者の証言、進出企業駐在員や、日本側の送り出した県の関係者、研究者など幅広い執筆陣が取り組んでいる。
(風響社 201012月 640 8,000円+税)

『ブラジルの人種的不平等』 エドワ-ド・E.テルズ

 これまで、ブラジルには米国等の同じ移民国家と比較しても人種差別はないといわれてきたが、必ずしもそうとはいえない、様々な形での人種問題を抱えていることが、近年の研究で明らかになってきた。
米国の社会学者が自国の人種問題の構造と比較しつつ、ブラジルの人種問題の特質を分析し、人種による差別問題の解決策を探っている。白人至上主義から人種民主主義へ、人種民主主義からアファーマティヴ・アクションへを概述し、人種の分類、人種的不平等と発展、人種差別について論じた後に、異人種間の婚姻、居住地の分離という現代社会が抱える問題を指摘し、ブラジルの人種関係の再検討を行った後に適切な政策の立案を提起している。

(伊藤秋人・富野幹雄訳 明石書店 20111 456 5,200円+税)


2011 1月号>

2020年のブラジル経済』 鈴木孝憲

 1966年以来ブラジルに関わり、現在もサンパウロにあってビジネス・コンサルタントとして活躍する元ブラジル東京銀行頭取による、急速に変わりつつあるブラジルの経済、ビジネス情報と解説。世界金融危機からいち早く脱出し、拡大する国内市場と深海油田、エタノールとフレックス車の生産拡大、新たな成長の核になりつつある東北部、収益の柱をブラジルに求める欧米系外資などの最新事情とポテンシャリティ、さらなる飛躍のために改善すべき財政収支、増大する税負担、まだ不足しているインフラ、レアル高に苦しむ為替レート、治安の悪化などの課題、ポスト・ルーラの政治とワールドカップ、オリンピック開催を果たした後の
2020年の経済を分かりやすく述べている。
(日本経済新聞出版社 201011 236 2,000円+税)

『地域経済はよみがえるか -ラテン・アメリカの産業クラスターに学ぶ』 田中裕二・小池洋一編

 シリーズ『「失われた10年」を超えて-ラテン・アメリカの教訓』 3部作の最終編。ブラジルからは①地方行政が資金サポートと知的創造のネットワーク化に取り組んできたバイオ産業(浜口伸明)、②本社工場のあるサンジョゼ・ドス・カンポス地域の関連企業の集積をベースに、世界各国の技術を集中させて世界第3位にまで成長した航空機製造のエンブラエール〔田中祐二〕、③世界最大の農業輸出国として、生産から消費に至るチェーン内で情報の流れや協調・競争関係を形成することにより、国際・国内市場に適した農産物とその加工品を生産することに成功したアグリビジネス(佐野聖香)を取り上げている。

(新評論 201012 432 3,300円+税)

『文学の心で人類学を生きる -南北アメリカ生活から帰国まで十六年』 前山隆

 ブラジル日系人のエスニシティ、異文化接触について多くの著作がある著者の、それぞれ異質な文化と歴史的背景をもつ日本で哲学を、ブラジルで社会学を、米国では文化人類学を学んだ3カ国16年半の記録。196167年のサンパウロでの留学生活とブラジル各地への調査旅行、1971~73年の地方中都市での調査と7477年の軍政下サンパウロでの教師生活を経て帰国するまでを詳述。
(御茶の水書房 201011月 313頁 2,800円+税)

『ハゲとビキニとサンバの国 -ブラジル邪推紀行』 井上章一

 建築学者、風俗史家がリオデジャネイロでの生活・見聞経験を基に、ブラジル人の生活、行動様式など日本人からみれば意外なブラジル人の常識や発想を紹介したもので、題名から連想される軽薄な旅行記ではない。ブラジルでの見聞から「彼の地で自分をふりかえる、日本および日本人を見直す読み物」として面白い紀行随想。
(新潮社 新書 201010月 190頁 680円+税)

『ブラジルへの郷愁』 レヴィ=ストロース

 世界的なフランスの社会人類学者レヴィ=ストロースが、1930年代半ばのブラジル滞在時に、サンパウロ、バイーアやビトリアの街、1年にわたるアマゾン奥地のナンビクワラ族などのインディオたちを調査した際の様々な姿を撮った写真集。訳者の懇切な解説によりその現代的な意味も明らかにされている。
(川田順造訳 中央公論新社 201010月 233頁 2,800円+税)

『在日ブラジル人に関するフォーラム 地域コラボラドーレス研修セミナー報告書』 二宮正人編・監修

 国外就労者情報援護センター(CIATE http://www.ciate.org.br/)が主催して2009年3月に開催されたフォーラムと、9月のセミナーでの、日本での就労の実態、問題点や留意点、両国関係機関・団体の取り組みや支援体制などが克明に記録された報告書で、日本・ポルトガル両語構成になっている。日本への“デカセギ”が直面する問題、生活と就労の実態、子弟教育、起業、帰国後の就労などについても、実情が報告されており、在日ブラジル人を取り巻く環境を知る上で極めて有用なレポートになっている。
201010月 入手は contato@ciate.org.br へ。無料、ただし送料のみ要負担)

DVD 笠戸丸移民100年の証言』 

 ブラジル在住のスタッフが2004年から移民100周年祭のあった2008年の間、4州に笠戸丸移民の子孫24家族を訪ね、その足跡を取材して得られた証言をもとに構成している。特に笠戸丸の最後の生き残りで2006年に100歳で他界した中川トミさんの日常生活や葬儀の模様も撮った貴重な映像。
FDP記録映画製作所 2010年 約47分 5,000円税・送料込み。申し込みはビオルグ電話03-3476-7167kasatomaru@biorg.jp へ)