4月13日付ブラジル各紙は,12日(日)にブラジル各地で行われた反政府デモの概要及び政府の反応につき報じるところ,概要以下のとおり。

 

1 デモの概要及び規模

(1)12日,反政府デモが25の州及び連邦区の約200都市において行われ,約70万人(警察発表)が参加したが,先月15日のデモ(約170万人)と比べれば,動員数は半分以下となった。

(2)主要都市に於ける参加者数及び前回との比較は以下の通り。サンパウロ:27.5万人(前回:100万人),リオデジャネイロ:2万人(10万人),ブラジリア:2.5万人(4.5万人),ベロオリゾンテ:5千人(2.6万人),ポルトアレグレ:3.5万人(10万人),サルヴァドール:2千人(1.2万人),レシフェ:8千人(5千人),マナウス2.3千人(1.3万人)。

(3)今回のデモが前回と比べて下火となったのは,前回のデモは4か月以上前からデモが告知されていたが,今回の告知期間は短く,また前回デモから一ヶ月も経たないうちに行われたことによるタイミングの問題が原因ではないかと見られている。また,サルヴァドール,ベレン,マナウス等では雨天が原因とされている。

 

2 デモ参加者の要求及び様子等

(1)デモの参加者の主要な主張は,反ルセーフ大統領,反政府,反PT,反汚職等であった。少数派ではあるが,軍事政権の復活を求めるグループが今回のデモにおいても出現し,注目を集めた。

(2)今回のデモは,終始,平和的に行われ,警官隊との衝突,略奪等の混乱は見られなかった。

(3)先月のデモに続いて,今回のデモを主催した,「自由ブラジル運動(MBL)」,「Vem Pra Rua」等のグループは,PSDB等の野党がルセーフ大統領に対する弾劾要求等の対立姿勢を打ち出さないことを批判している。なお,MBLは,今月17日から,サンパウロ市内から首都ブラジリアまでデモ行進することを計画中。

 

3 デモの参加理由(ダタ・フォーリャ社による調査から)

ダタフォーリャ社がサンパウロ市内のデモ隊を対象に実施した調査によれば,デモの参加理由は,「汚職に抗議するため」33%,「ルセーフ大統領の弾劾を求めるため」13%,「政府に抗議するため」11%,「PTに抗議するため」11%,となっている。なお,先月のデモでは,「ルセーフの弾劾を求めるため」は27%であった。サンパウロのデモ隊の83%は,昨年の大統領選では野党のアエシオ・ネーヴェス候補(PSDB)に投票したとの結果も出ている。

 

4 政府の反応

政府は,今回のデモが前回より低調に終わったことに安堵しており,体勢を立て直し,支持率を回復するための時間が稼げたと見ている模様。また,政府は,テメル副大統領(PMDB)及びシウヴァ社会広報庁長官(PT)を通じ,「デモの発生は民主国家として当然のことであり,政府は,国民の声に耳を傾けている」とのメッセージを発信している。

 

5 フォーリャ・デ・サンパウロ紙の分析記事

今回のデモにより,反政府運動が下火となったと見るのか,または未だにこれだけのデモ隊を動員できるだけの勢いを持っていると見るのかで意見が分かれるところであるが,デモの参加者が前回から減ったとは言え,今回も相当な規模のデモが発生したと見るべきである。政府からしてみれば,一息つけたということなのであろうが,最新の世論調査によれば,国民の63%がルセーフ大統領の弾劾を支持しており,危機から脱したとは言い難い。