4月6日付ブラジル「バロール・エコノミコ」紙は、トランスペトロ社がタンカー建造計画を完遂できない可能性について報じているところ、概要以下のとおり。

 

1.トランスペトロ社(ペトロブラスの輸送部門を扱う子会社)のタンカー建造計画が危機に直面している。市場は、伯国内の各造船所に発注された同社のタンカー建造計画が継続されることを疑問視している。同社の「船団近代化・拡張計画」(Promef)において、さらに23隻のタンカーを建造することとされているが、それには約60億レアルの投資が必要であると見込まれている。

 

2.伯造船所は、ペトロブラスによる新規発注の停止が造船所の経営の困難と職員の解雇を生じさせることを危惧している。トランスペトロ社の需要をあてにして、いくつもの造船所が建設された。第一期ルーラ政権下の2004年、同社はPromefを発表した。Promefは、造船業復活を掲げる同政権の象徴であり、当初49隻のタンカーを国内の造船所で建造することが予定されていた。このうち、現在までに8隻が建造され、15隻が建造中である。

 

3.残りの26隻のうち、3隻は船舶燃料の輸送のためのものであり、Promefの対象となっているが、建造契約は締結されていない。トランスペトロ社は、残りの23隻を含む全ての契約は有効である旨述べている。同社によると、これらの23隻のタンカーは、未だ建造が開始されておらず、また、FMM融資の承認も下りていない。市場は、これらの23隻のタンカーの建造には、60億レアル程度の投資が必要であると見込んでいる。

 

4.Promefは当初、49隻のタンカーと20隻の河川用曳船の合計で112億レアルの投資を見込んでいた。市場は、ペトロブラスが直面する問題のため、必要となる60億レアルがFMM融資と同様に低利かつ長期で投資される実現性を疑問視している。

 

5.考え得る代替策としては、トランスペトロ社が未だ建造が開始されていない船舶の引渡し期限を延長することである。いくつかの情報源の間では、同社は、タンカーの新規建造に代えて、外国で建造されたタンカーを用船するのではないか、と疑われている。

 

6.トランスペトロ社は、文書で、ペトロブラスは2015年の計画を再検討し、投資を実現可能なものとするよう資金の保全のための一連の行動を実施しつつあると述べた。また、現在、8隻のタンカーが稼働中であり、建造中の15隻のうち、6隻がスエズマックス・サイズでアトランチコ・スル造船所、6隻がLPG(液化石油ガス)船でVard Promar造船所(ペルナンブコ州)、3隻がパナマックス・サイズでEisa Petro-Um造船所(リオデジャネイロ州)において、それぞれ建造中であると述べた。

 

7.ある造船所の幹部は、Promefは当初、国内造船所への長期間の発注の予定を保証していたが、今後、トランスペトロ社に関係するいくつもの造船所が、2016年からの従業員解雇をさけるため、本年にも新規受注競争にさらされるだろう、と述べた。