サンミゲル・アルカンジョ市はサンパウロ州南西の海岸山脈上に位置し、人口3万5千人、この町の名は守護神の名前から由来している。町の設立は、田舎町としては案外古く、2015 年に130 年祭が行われた。またレジストロへ下り、南のパラナ州クリチーバ市へ続く街道の宿場町として栄えたが、国道116 号線や、イタペチニンガとカッポン・ボニートを結ぶ街道が出来てからは、サンパウロからの終点の町となり、また海岸山脈を背にした州立公園の入り口の静かな田園都市である。
バイア州、パラナ州のブドウの輸出が盛んになる前は輸出向けのイタリア・ブドウ生産も盛んだった町として栄え、それ以前にはコチア青年のイモ作りで賑わった町だ。現在はブドウ、柑橘、桃、柿等の温帯果樹、雨よけハウス栽培のトマト、胡瓜、ピーマン等サンパウロ市への供給地となっている。
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その一角に当移住地はあり、SP250 号線の162Km 地点に朱色の鳥居の立つ入り口があり、そこから5.5km 入ると村の中央区に着く。1961年にJICA 直轄移住地に南伯農業組合と福井県の後押しで福井県から3 家族入植し、942ha の移住地が始まった。そんな事もあり「福井村」とも呼ばれている。現在文協会員(村会)52 家族、中央区には文協の会館、体育館、日本語モデル校、市立小学校、州立中、高校、南伯農業組合、日本語の7 万冊の蔵書を備えた私立図書館がある。夜はスポーツ、昼は学校と賑やかな場所である。

移住地は小さいながらも村としての纏まりはよく、日本語の学習環境は最高で、全伯お話コンテスト等で多数の入賞者を出している。また日本語能力試験でも1 級合格者を多数出している。10 年前から始まった和太鼓も盛んで、ジュニアの部で全伯2度目の優勝達成した際の2014 年の日本大会で5 位の成績を残した。
その太鼓の音にはコロニア・ピニャールで培われた協調性と努力を惜しまない心が表れています。昨今移住地の高齢化に伴い、観光農業の可能性を考える人も増えてきたが、この日本を思い出せる風土を生かし、移住地の発展へつなげていきたいと思っております。

徳久俊行(コロニア・ピニャール文化体育協会会長)