セアラ州の州都フォルタレーザ市(以下F市と略す)の第1 の印象は、現代的国際都市だということで、空港が、こじんまりとしているが、綺麗だ。F 市は地理的に欧州に一番近い州都である。空港は北米や欧州の都市に直行便がある国際空港だ。F 市は、欧米とブラジルをつなぐ「空の玄関」なのである。ただしレシーフェ市やサルヴァドール市などにも国際空港があり、空港間の競争がノルデスチ地方内で展開している。
第2 の印象は高層建築物のスカイラインである。F 市の海外沿いは高層のオフィス・ビルと高層マンションが密集している。F 市の現在の人口は約250 万人で、市面積は約314㎢。人口密度は約7800 人/㎢と高い。それは、2 万人近い東京都心ほどではないが、名古屋市、福岡市、神戸市などの一部に匹敵する高密度である。ノルデスチ地方の他の州都の沿岸部のスカイラインも、F 市のそれに似ている。景観の違いは、たとえばレシーフェ市では数々の素敵な橋を見かけるが、F 市は橋を売りにしていない。
第3 に、海岸の観光資源がすばらしい。市の中心地近くにヨット・ハーバーがあり、オシャレな雰囲気をウォーター・フロント地区に与えている。中心地から少し離れると、砂丘があり、そこで私は初めてレンタルのバギー車を乗り回す遊びに興じた。たくさんあるビーチも魅力的で、ある浜では、浅瀬の砂が波の影響で美し
い模様を刻んでいた(写真参照)。
ちなみにF 市にはセアラ州のGDP の48%が集中している。一極集中といってよいので、同州の地域バランスとしては、経済活動の地方への分散が課題である。この州は、植民地時代には内奥地のソブラル市やクラト市などが先進地域だった。これらの地域は歴史に埋もれたわけではなく、昨今大手製靴企業Grendene 社の工場があるなど(ソブラル市)、靴の産地として注目されている。このようにF市以外の州内地方都市に発展のネタがあり、F 市への一極集中緩和の潜在的可能性はある。
将来もしブラジルに住むことがあるとすれば、魅力的なフォルタレーザ市は、間違いなく有力候補地である。