1908 年に始まった日本移民の多くはコーヒー農園の労働者として送り込まれたが、旧イグアッペ植民地( 現レジストロを含む) は1913 年に最初から殖民を目的として造成され、入植者は25 ヘクタールの自営農として入植し、当地方の中心都市レジストロ市( 人口5.7 万人) の基盤を築きあげた。
サンパウロ市から国道116 号線を南に向かい海岸山脈を一気に下り185キロ地点のリベイラ川のほとり、遠くに初期移民たちに親しまれた最高峰(標高442m)のリベイラ富士が望める町がレジストロ市である。ケッペンの気候区分ではAf、市役所は海抜15m の地点にあり、年間降雨量1500 ミリ、平均気温21 度、平均湿度73%である。日系家族数は1,200 家族あまりでその多くは市街地に住んでおり、農業に従事している家族は年々減少傾向にある。
日系社会の中核としてレジストロ日伯文化協会の存在は市にとっても大きく、日本文化継承と普及に努めているが、特に今年63 回目を迎える11 月2 日の灯篭流し、6 月の寿司祭り、等は観光資源として大きな役割を果している。
近年レジストロ市は近隣の市と共同で観光開発に力を入れ始めた。海に向って車で1時間少々のところには歴史の町、イグアッペ、カナネイアが
あり、夏ともなれば海水浴客で賑わう。他方山岳地帯には鍾乳洞、あるいはキロンボ( 逃亡奴隷の集落) が数多くあり、さらにはユネスコ世界遺産に登録された自然と資源は豊かである。また、レジストロには初期移民の建てた第二期住宅も散在していて、これらはブラジル歴史美術遺産に登録されている。
地方の中心都市としての金融・行政機関もそろっているのもレジストロの特徴といえる。市は福祉厚生・教育にも熱心で、総合病院(建設中)を始め市民の健康管理には特に力を入れている。教育面では州立大学1校、私立大1校、このほか国立の高等職業専門校、現在建設中のものに商業高校、工業高校がある。また、州警兵第14 大隊の駐屯地であり治安は安定している。
長い間、サンパウロ州のアマゾンなどといわれ続けてきたレジストロではあるが今日に至り将来が楽しみな町である。
福澤一興
(レジストロ日伯文化協会会長)