執筆者:山下 日彬 氏
(ヤコン インターナショナル)

包囲する味方を増やす、奇襲、奇策や、相手より数倍強力な武器の開発が必要だろうが、これを解かないと、巷の中期計画は意味がなく、先の読めない時代が、続くような気がする。
先の読めない革新の時代の、国民選挙の多数決民主主義は、「どうしてよいかわからないから、現状を変えてみよう」と、予期しないリーダーを、選出する可能性がある。またはポピュリスムに流されてしまう。

議会の大統領弾劾でゆれたブラジルでも、その直後、もし今、国民選挙をすると、新大統領は当選できないと、ささやかれていたし、先は読めない。

藤井厳喜氏のラジオ番組で、「朝鮮半島を平和裏に南北統一し、国民選挙を実施すると、北人口2516万人、南人口5062万人だが、南の票は割れるので、今、現在でも、北側の代表が当選する」の予想には驚いた。てっきり、東西ドイツ統一のようになると、思っていたからである。考えてみれば、南は工業国だが、北は、世界の野心者の垂涎の的の資源国である。

ヨーロッパで、英国、ドイツ、フランスで、「新生児の半分はムスリムになっている」の情報にも驚いた。Pew Research centerのヨーロッパのムスリム人口統計によれば、

ムスリムの出生率は、EUの平均1.38人よりはるかに高く、英国、イタリア、スペイン、ベルギー、スウェーデンなど、2030まで、人口は年率4%で、倍増し、10人に一人はムスリムになるようである。将来、投票有権者が、過半数を超える自治体が続出する可能性がある。
2030の世界ムスリム人口は、約22億人で、アジアでは、過半数を超え60%になるとのこと。これもPew Research centerのデータだが、パキスタン、インドネシア、インドのみで7.3億人になる。

環境問題のパリ協定でも、「汚染責任は、産業革命後の発展を享受した先進国にあり」とする後進国側の、一人当たり排出権などの主張が通ることで、人口の大きい方が利する協定になる恐れがある。
人口問題は、環境、食糧、エネルギーに直結するし、高齢化や、AI失業、2000万人都市圏続出などの課題とともに、今、世界で起きている諸問題の核心は、人口問題に思えてきた。人口予測は、もっとも、的中率の高い未来予測である。今、何もしないでいたら、近未来、世界中の国政選挙で勝つのは、人口の多い方になるだろう。
人口は、国連の2012年版 世界人口展望によると、国家体制が変わらず、戦争も起きず、経済が現状維持の仮定での、人口予想であるが、2013年で、G7で、10位内に入っているのは、米国と日本のみ、2050年には、日本が落ちて、米国のみとなっている。

 

 

BRICは、10位内に、2013年は4か国あるのが、2050年ロシアが落ち、2100年にはなんと、ブラジルも落ちて、インドと中国のみになる。もとより、後進国の方が、人口が多い上に、先進国より出生率が高いから、この傾向は、時間が経過するほど差が開く。
難民が、世界的な重要課題になっているが、移民問題とは、「気がついたら母屋を取られていた。言語を含め自国文化が消滅していた」を、どう防ぐかの問題であろう。
これからの政治家には、民意のみでなく、戦国武将の知略が必要であり、長期計画で対処せねばならないと思う。例えば、特定の人種が、地方自治区で、過半数を占めるのを、何らかの事前分散政策で避ける。移民の子孫に対し、居住国文化に同化させるため、短期間に居住国語を強制的に教えこむ、このためには、AIや最新ソフトを駆使すべきであろう。
PwCのGDP予想、PPPだが、21O0年も、ブラジルが5位に残っているのは感激だが、日本が7位に後退するのは、ブラジルの日系社会としても困る。

 

日本の立場で考えると、他国に蹂躙されないためには、パワーバランスといった考えも必要で、その指標となる軍事予算は、通常GDPに比例するものである。中国が2%日本を1%とすると、日中格差は、2014年のGDP 差が3.7倍で、軍事予算額では今でも7倍強の差であるが、2030年6倍(同12倍)、2050年7.7倍(同15倍)に開くと、単独では、まったく、対抗できなくなる。

GDPランクを、相手より下げないように、国際リーダーの地位を、保っていただかないと、海外の日系社会も一緒に沈むことになる。AIと日本人の英知を結集し、一人当たりの生産性を、極端に、10倍くらいに高めてほしい。

また戦略的には、米国同盟以外に、インド、インドネシア、ロシアなどと、がっちり組んだ包囲外交をして、GDPで、10位以内に入ってくるインド、インドネシア、メキシコ、ロシア、ナイジェリアなどとの交易も積極推進してもらいたいと思う。