ボアヴィスタ市はブラジル北部ロライマ州の州都であり、ブラジルの州都としては赤道の北側に位置する唯一の都市である。こうした地理的条件のため、気候は熱帯湿潤気候で年間平均気温は27.4℃となっており、21℃以下になることはない。IBGE( 地理統計院)の最新統計によれば、人口は33 万2千人である。
ボアヴィスタ地方の地勢は、“ラブラド”と呼称されるサバンナであり、これはブラジル、ガイアナ、ベネズエラの三国にまたがる広範な熱帯草原を形成している。その高地の代表的な植生は成木になると樹高20メートルに達するカインベであり、低地はイガラペと称する狭い水路に沿って自
生するブリティ椰子が特徴的である。
ブランコ河がボアヴィスタ地方の主要水系となっており、季節としては、5 月から9 月までの雨期と、10月から4 月までの水位がぐっと下がる乾期に二分される。この地域の土壌や気候条件は農業生産に適している。酸性度の低い中性土壌で、起伏の少ない平坦な土地のため農業の機械化が容易であり、日照量も十分にして降雨の時期が決まっているため、ブラジル国内の他地域の端境期に生産できるメリットがある。また、農産物の品質も優れており、穀物の油性分やたんぱく質の含有度が高く、また綿花の繊維が長く、フルーツ類の糖度も高い。
ベネズエラ、ガイアナ、カリブ諸国にマナウスも加えた人口3 千5 百万を有する一大経済圏の中心という戦略的な位置にあることも強調したい。すなわちブラジル国内の他の農業生産地方よりもアジアやヨーロッパに近いのだ。
当地方はブラジルにおける最後の農業フロンティアであり、土地代もまだ安いことから、国内他地域や他国から多くの農業生産者を惹きつけている。そのなかには新たな生産地を求めてブラジル南部から移住してきた日系人も少なくない。こうした日系人が、1950 ~ 60 年代に入植した日本移住者と一緒になって2008 年にANIR( ロライマ日伯協会) を創設したが、当地方在住の日本人・日系人の数は約120 家族である。

 

ジェファソン・ハラ
(ロライマ日伯協会)