小林雅彦(協会理事)

 カンポ・グランデ市は、ブラジル中西部に位置する南マト・グロッソ州(Estado de Mato Grosso doSul)の州都だ。1977年、20世紀初頭以降続いた分離運動の末、マト・グロッソ州の南部が分離して南マト・グロッソ州として新しい州になった際、州都(Capital)に定められた。
州のほぼ中央に位置する同市の面積は約 8083㎢(IBGE)、人口は約 90万人(2020年、IBGE 推計)だ。もともと南マト・グロッソ州のある地域は、旧マト・グロッソ州の中でもサンパウロ州やパラナ州、ミナス州に近いという立地上の好条件により経済や物流が発展してきたが、カンポ・グランデ市はその中心だ。
20 世紀に入りドイツ系、東欧系はじめ外国人の移住が本格化する中で鉄道事業に従事した沖縄の人々を中心とする日系社会も存在感を示してきた。1990 年代の初めごろ当時勤務していたサンパウロからよく同地に出張した。その際、州議会議員(PSDB)をしていた日系のアキラ・オオツボさんにお世話になった。オオツボさんは、州議会議長を務めた地元の有力政治家で、その後連邦下院議員(PMDB)として国政の場でも活躍している。根っからの政治家らしく、83 歳の現在も州南東部のバタグアスー(Bataguassu)市の市長(MDB)を務めている。オオツボさんは、日本との関係強化に尽力されていたが、1995 年には、清子内親王殿下が南マト・グロッソ州を訪問され、州政府・日系社会はじめ地元官民の大歓迎を受けられた。
オオツボさんとの思い出の一つは、伺うたびに地元の魚料理を提供する大衆レストランに案内してもらったことだ。パンタナールで獲れるパク―(pacu)やピンタード(pintado)といった淡水魚の想像以上の美味しさに感動したものだ。あまりきれいでない大衆的な魚料理専門のお店に行って塩だけで焼いたりフライにした素朴な料理を頼むのがコツだ。
最近カンポ・グランデ・グルメとして有名になったのは、「沖縄そば」だ。沖縄そばは、2006 年に州の「無形文化遺産」に指定され、2017 年には、州の「郷土食コンテスト」で 40%以上の支持を集めて堂々の第 1 位に選ばれた。毎年 8 月には、「ソバ・フェスティバル(Festivaldo Sobá)」が開催され、ブラジル全土から非日系のそば好きも多く参加するそうだ。会場のフェイラ・セントラル(Feira Central)には巨大な沖縄そばのモニュメントがあり、町の観光名所の一つになっている。