コッペデひろみ(音楽家・在伯青森県人会副会長)

サンパウロ州の内陸部に位置するヴィニェドは、カンピーナス大都市圏に統合された自治体グループの一部でジュンジアイー市とカンピーナス市の間にある自然豊かな町である。サンパウロ市から
およそ75 キロ離れていて渋滞を避けた場合、約1 時間弱で到着するドライブにも最適な場所だ。人口は約8 万人ほどで、面積は
81.60km²。1949 年に設立され、現在では街の96%が都市化されている。ヴィニェドは町の主要な農産物であるブドウを称えるた
めに選ばれた名前である。果物の収穫を祝い、生産者が地域社会との仕事の成果を祝ったブドウ祭りが1948 年から実行されており、今年は3 月24 日から2 週にわたり開催される。
さて、ヴィニェドには2008 年に創立された日系団体がある。約20 家族、約40 人の会員が所属していて、卓球、カラオケ、社交ダンス、日本語レッスンなどの活動を行なっており、日本まつりも開催されている。パンデミックでイベントは中止されていたが、5月には数年ぶりに日本まつりが実施される事が決まっている。
ヴィニェドは一見シンプルな町だが見所が沢山ある。まず、市の入り口には移民博物館があり美術展も開催されている。また、日本で展覧会を開いた事もある国際的画家Adelio Sarro の芸術記念館MAAS がある。彼の妻、その他のアーティストの作品や絵画、視覚障害者向けの作品もありヴィニェドを訪れる人々を魅了させている。周辺には1976 年に開設されたコルコバードのキリスト像のレプリカがあり、展望台からはヴィニェドの町が一望できる。そして、サンパウロ市にもあるサンベント修道院もあり、静けさと自然の美しさを感じる事ができる。
さらに、Castelo dos Vinhaisという、1980 年代にブドウ農園の中に建てられたお城がある。元々は結婚式やデビュタントパーティーのスペースとして使用されていたが、今年2 月からは新たな試みとして土曜と日曜にカントリー式の朝ご飯を提供している。このようにヴィニェドは、もはやブドウだけの町ではなく、自治体の建設に貢献した人々の伝統と文化を守ることへの住民の関心は明らかだ。
私は普段、サンパウロ市内に住んでいるがヴィニェドには義家族の家がある。週末や連休の時は都会の喧騒を逃れヴィニェドで過ごす事が多い。私の友人達を招く事もあり、音楽会を開催した事もあった。この町にいると平和を感じる。私にとって大切で大好きな町である。