H&Aコンサルティング
代表 星 淳子 氏
- ブラジルの生活・習慣~コーヒーへのこだわり
コロナ禍の影響でテレワークが世界中で一気に加速しましたね。でもテレワークをするためには、意外と高い集中力が必要だと感じています。集中力を高めるために、コーヒーを飲まれる方が増えたのではないのでしょうか?私は確実に増えました。カフェインが入っているので、しばらくは控えていたのですが、今は1日に3杯は飲みます。コーヒーといえばブラジルを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。でも、意外とブラジルとコーヒーの関係については知られていないように感じます 。
ブラジルでコーヒーの生産が開始されたのは今から200年ほど前の18世紀後半から19世紀初頭にかけてですが、その後、ブラジルのコーヒー生産量は急速に伸びていきます。ブラジルがコーヒー栽培に適した気候と土地に恵まれていたことが、その大きな要因とみられています。実は、世界には「コーヒーベルト」というコーヒーの生産に適した地域を指す言葉もあるのですが、ブラジルはバッチリこの地域に入っています。また気候以外にも、ブラジル政府がコーヒー産業の発展を支援するとともに多くの移民がブラジルに移り住み、労働力不足を解消できたことも、高い生産量の要因と考えられています。その結果、20世紀初頭には世界のコーヒー生産の実に約75%を占めるまでに成長しました。現在は、当時ほどの生産シェアはありませんが(今は約35%程度)、それでも、ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、引き続き高品質なコーヒー豆を生産しています。ブラジルのコーヒーは、甘く豊かな風味が特徴で、世界中で愛されていますね。私が運営しているポルトガル語のレッスンでも、よくコーヒーのお話をします。コーヒー屋さんで「コーヒーをください」と注文する時に使うポルトガル語は、通常「Um cafezinho, por favor!」と習うのですが、ブラジル人が普段使う注文の仕方を紹介すると、生徒さんは一様に「えっ!そんな動詞を使うのですか~!」と驚かれます。そんなブラジル人達にとって、コーヒーは生活の一部、なくてはならない存在です。まず、飲む量ですが、ブラジルではコーヒーは水に次いで2番目によく飲まれる飲み物となっています。ブラジルコーヒー産業協会 (ABIC) によると、ブラジル人1 人が年間に飲むコーヒーの量は、平均 5.4 kg とのこと。一方、飲む量には地域差もあり、ブラジルの中で最もコーヒーが飲まれているのはサンパウロ地区、そしてその次がNORDESTE(北東)となっています。 因みに、銀行や美容院でコーヒーが出されることは珍しくないのですが、ブラジルの歯医者さんや診療所(consultorio medico)の待合室でもコーヒーが飲めるのですよ。
次にブラジル人のコーヒーへのこだわりを見てみましょう。[1]朝は必ずコーヒー、一杯1日の始まりをコーヒーで始める人たちが多いと思います。なんだか「よし!頑張ろう!」という気持ちになります。日本でも仕事へ行く前に、カフェでコーヒーやモーニングセットを食べてから行かれる方がおりますが、ブラジルでは仕事に行く前に、パダリアに寄って、コーヒーとチーズパン又コーヒーとパォンナシャッパ(pão na chapa=フランスパンにバターを塗って、鉄板で焼いたもの)を食べる方が少なくありません。家でコーヒーを飲むよりも美味しいと言う人もいます。この「パダリア」のオーナーは何故かポルトガル人(移民者)が多いのですが、それはさて置き、下のリンクをクリックすると、「バダリア」の雰囲気を感じることができます。日本の喫茶店とはだいぶ異なる雰囲気だと思います。https://youtu.be/KdpkTmKu-mw[2]入れたてのコーヒー
ブラジルではガブガブ飲むより、一杯に勝負をかけるかのように、入れたてのコーヒーの香り・味を楽しみます。ただし味といっても、多くの人はコーヒーに砂糖を大量に入れるので、甘い味ですね・・・・・・。
私はノンシュガーでコーヒーを飲むのが好きなのですが、そのことを友人に話すと、「人生は苦いのに・・なぜ苦いものも飲むの?」と冷たい返事が返ってきちゃいます・・・・。 因みに、ブラジルのカフェへ行くとさまざまな砂糖が置いてあり、大量に入れる砂糖も好みによってまちまちです。
・ 白砂糖
・ slim(ダイエットで使われる砂糖)
・ 黒砂糖
・ オーガニック砂糖 などなど・・・
最近では、サンパウロに落ち着いた雰囲気のコーヒーショップが増えてきており、かなり人気で、週末になると4時間待ちだとか・・・・。それでも皆さん、入れたてのコーヒー飲みたさに、待っているようです。[3]インスタントコーヒーよりもコーヒー豆コーヒーの香りを楽しみたい人はコーヒーの豆を買って、家で挽きます。また、最近はカプセルで売られているコーヒーもあるので、それを購入する人も増えています。日本でもカプセルコーヒーがだいぶ普及してきましたが、ショッピングモールにカプセルをリサイクルする箱が置いてあり、そこに使用済みカプセルを入れるようになっている点が日本と違いますね(ブラジル人は、思った以上にリサイクルへの関心が高い)。最後に、私が好きなブラジルのコーヒーメーカーを紹介します。• Café Santa Mônica(品質にこだわった栽培方法と選別作業により実現した高品質なコーヒー豆です)• Intenso Orfeu(名前の通り、Intenso Orfeuは非常に濃厚で強烈な味わいが特徴です)• Grão Baggio Café(ブラジル南部のサンタカタリーナ州に本拠地を置くコーヒーロースターです)• Rei do Café (こちらは私の地元サントスで購入しました。深みのあるコクと香りが特徴で、とても美味しいです)スーパーで売られているコーヒーもたくさんありますが、「Café Gourmet」と書いてあるのがおすすめです。より洗練された高品質のものです。まぁ・・・格差が大きいブラジルでは「飲めればOK」という方も多いですが・・・・ -
ブラジルの文化・習慣~ゆっくり料理を楽しむ今週末、我が家にブラジルから友人が遊びに来てくれました。私のようにシニアではなく、現役の大学生。若い人のパワーや考え方を知るのは、とても面白いな~と改めて感じました。彼女は、日本のことが大好きな日系4世。でも4世ともなると、もうすっかりブラジル人で、彼女の家の中で日本語が使われることはなく、彼女以外は、日本にあまり興味がないとのことでした。まあ、世代が変わると、だんだん自分のルーツとの関係は薄らいでいくのですよね・・・。でも、彼女は高校生の頃から日本語を勉強し始め、いまではかなりのレベルに達しています。このような方が、将来日本とブラジルの懸け橋になってくれるのだろうと、頼もしく思いました。彼女が我が家に来た際は、私の手料理を振舞って、日本式の「OMOTENASHI」をしたのですが、和食はなんでも食べられると言っていて、特に「おこわ」と「ニラとえびの天ぷら」をパクパク召し上がっていました。デザートに「どら焼き」や「大福」を出したら、「和菓子 大好き」と言われ、コーヒーとともに和菓子を楽しんでくれました・・・・・なんか面白い組み合わせですが・・・・。ブラジル人の昼食は、日本と比べると、とてもゆった~りとした時間になります。彼女との昼食も、いろいろなお話をして、ゆっくり食べ、気が付いたらあれこれ2時間半は座って食べていました。このスローな昼食に驚いたのは主人。主人、いや、多くの日本人は超高速で昼食をとられる印象が強いですね(あくまでも個人的な印象ですが・・・・)。もちろんブラジル人も急いで食べる時もあります。特に仕事や学校関係で忙しい時。私も仕事をしているとき、片手にパンもう片方の手にはペン・・・・といった感じ。
でもお昼ご飯を大切にするブラジル人は、特に週末、スローなランチタイムを楽しむ傾向にありますね。彼女に日本の印象を伺ったところ、町はきれいで、人は礼儀正しく、そしてなんとなく、皆同じに見えるという事。確かに、平日の服装は、学生も社会人も、みな似ていますよね。また、時間に正確。でも正確すぎて、少し融通が利かないことに少し驚いたとのこと・・・。とある雨の日の朝、彼女と一緒に都内で行われるイベントに参加すべく移動したところ、オープンの少し前に現地に到着。ドアの前で開くのをひたすら待っていると、雨脚はどんどんひどくなり、もう大変な状態。ドアの向こうには、警備員さんと思しき方が立っていたのですが、ビシャビシャになりそうな我々のことを認識するものの、ドアを開けようとするそぶりは全くなく、時間ぴったりになり、ようやくオープン。超~時間に正確・・・・・ですが、彼女が「ブラジルだったら、雨だから早めに入りなさいと、オープンしてくれるよね~」と・・・・・。確かに、ブラジル人は時間にルーズですが、柔軟性がある、融通が利きやすい、とも言えるかもしれないですね。時間に厳しい日本を尊敬していますが、でも時と場合によってはね・・・。もう一つ、ルールに厳格な日本の例を教えてくれました。とあるレストランでサラダを頼んだ際、ベーコンが乗せられた状態でサラダが登場。実は、彼女ベーコンが苦手で、ベーコンをチーズに変えてほしいと店員さんにお願いしたところ、店員さんが「大変申し訳ございません、それは出来ません」との反応・・・・・。ブラジルでは「ahhh,tudo bem」(問題ないよ)というレストランが多いので、ちょっと面食らったようでした。ブラジルには「jeitinho brasileiro」(ブラジル的な方法)という独特な方法を示す表現があります。「プロセスはさておき、結果を大切にする」といった柔軟性を重視する表現で、ブラジル文化の一つとして広くいけ入れられているのですが、日本とだいぶ異なる特徴かもしれないです。この表現については、また機会を見
て紹介いたします。
そんな彼女も、3カ月の日本滞在を終え、来週にはブラジルへ帰国します。少し面食らう場面もあったようですが、「日本がもっと好きになりました!!」と言ってくれました。また、日本に来てくれることを楽しみにしています!