窪田敏朗
(協会事務局長)

 日本人向け観光ガイドブックに紹介される機会は少ないが、リオデジャネイロから車で海岸線に沿って東に約3時間の場所に、欧米人観光客にも好まれている小ぶりだが素敵なビーチタウン、ブジオスがある。ブジオスは周囲が8 キロの複雑な形状の半島に、23 の美しいビーチがあり、洒落たレストランやホテルが立ち並ぶ、リオデジャネイロ州では最も人気のある高級リゾートである。
正式にはArmação dos Búzios とよばれるこの町がどうして著名なリゾートタウンとなったのか?話は1960 年代前半に遡り、フランスのトップ女優、BBことブリジッドバルドーの訪伯が巻き起こしたことがきっかけとなったのは知る人ぞ知る有名な話しだ。
1964 年1 月、彼女は当時のブラジル人のボーイフレンド、ボブ・ザグリーと休暇でリオを訪れるが、至る所に報道陣、今で言うパパラッチが張り付き、嫌がらせを受けて、コパカパーナ・パレス・ホテルで急遽記者会見を行う羽目に。その後、静かなプライベートの時間を過ごすために、ボブは当時世界的には無名だが平和な漁村ブジオスに彼女を連れていった。この小さな町には、当時電気もろくに通っておらず、生活は極めて田舎的だったが、半島の自然な美しさと、その素朴さが彼女のお気に入りになったという。
彼女は1964 年12 月~ 1965 年1 月にブジオスを再訪。彼女が町にもたらした名声に感謝する意味で、彼女の名前が通りに名づけられたり、彫刻家クリスティ―ナ・モナによる等身大の銅像も建てられたりした。
町には小さいけれど素敵な欧州風の名画座映画館がある。彼女の名を冠した映画館、グラン・シネ・バルドーだ。館内には懐かしの著名男優、女優の写真が多く飾られているが、ここでも一番の壁にはバルドーの写真とサインが飾られている。
現在のブジオスは人口3.5 万人。年間平均気温は24℃と時期を問わず爽やかで、雨も少ない。半島の西海岸のビーチは穏やかで透明度が高く、東海岸は外洋に面しているため、よりワイルドで、サーファーやウォ―タ―スポーツ愛好家に好まれている。街の中心街であるRua das Pedrasにはショッピングやレストラン、アートギャラリーが立ち並び、ナイトライフもクラブやバーもあり満喫できる。
ジェーン・バーキンやナタリー・ドロン等60 ~ 70 年代に活躍したフランス女優の訃報を最近耳にする度、BB は未だ健在なのか(現在89 歳)気になる、そしてこのブジオスのことを思い出すのである。