4月6日付ブラジル「バロール・エコノミコ」紙は、「ブラジルは投資協定の拡大を議論」と題する、セルジオ・レオ氏の論説を掲載しているところ、概要次のとおり。
1.政府は、モザンビークとアンゴラというアフリカにおける重要なパートナー二カ国との間で合意したばかりの投資協定のモデルを他国にも拡大する「飛行計画」を、今週決定する。南米及びアフリカ大陸におけるブラジル企業の活動拡大により、ブラジル民間セクターは、海外における彼らの利益の一層の法的保護のために、圧力をかけている。(前述の)アフリカ諸国との交渉では、約20年前に議会が承認しない原因となった条項を削除し、新たな協定を定義することができた。コロンビア、チリ、ペルー及び南アが、こうした新協定をブラジルが協議する次なる国々であり、それにより、特に中小企業に対する投資の円滑化と保証を実現することとなる。アルゼンチンとベネズエラの危機によりメルコスールが貿易合意として前進することが封じられている中、バイで署名されうる投資及びサービス協定の模索は、ブラジルにとり輸出拡大の代替策となりうる。
2.投資協定に関する議論は、米州サミットの直前であるだけに一層興味深い。この会合は、FTAA構想の機運の頂点で導入されたフォーマットであり、その失敗以降、会合の意味自体を模索して漂流している。西半球における貿易に関する議論の欠如の中で、政治がスペースを占め、キューバに対する擁護できない禁輸措置が空虚を占めてきた。今週のサミットでは、米国とキューバとの再接近がお祭り気分を約束する中、米国によるベネズエラ制裁が気分を盛り下げるだろう。今回、キューバも含め大陸の全ての国が参加するサミットの議論を政治が独占するにまかせるのは、ブラジルにとって得策ではない。いわゆる太平洋同盟諸国は、この機会を経済接近の議論の前進のために活用する。ブラジルは、貿易協定の分野で何も新たに提示するものがなくとも、非関税障壁の廃止や貿易パートナーとの新たな投資保護モデルを含め、貿易統合の豊富なアジェンダを模索しうる。
3.TTIPやTPP交渉の中で想定されているような伝統的な投資協定では、企業が自らの利益に有害であると考える政府の措置を国際法廷に訴えることができる、いわゆるISDS条項のような議論ある要素が含まれている。また、収用の際、金銭による損害賠償も義務付ける条項もあるが、これは、ブラジル憲法が土地収用の際は禁じている措置である。民間セクターとの協議を通じ、ブラジル政府により策定されたモデルは、環境保護や保健といった公共の利益に関する措置に対して民間企業が訴えることを許すことにより、伝統的協定の署名国が直面してきた問題ある条項を排除している。先週、ブラジルがアンゴラと署名した協定は、以前にモザンビークとマラウィと合意したと同様のものであり、各々の政府が取り上げる紛争のみが、投資に影響しうる措置に対する法的訴訟に持ち込まれうる。協定は、紛争予防「合同委員会」を設置し、投資家に情報を提供し、企業の利益擁護のために政府との交渉を模索する。それが不可能な場合は、委員会は、既存の国際機関も含め、外部の調停者を選定する。こうしたタイプの協定は、特に、海外における活動を模索している中小企業に裨益する。ブラジルが採用したモデルは、オンブズマンと、投資のための一種の「ワンストップショップ」を予定しているのみならず、内外の投資差別に対する保証を提供し、最恵国待遇を自動的に付与し、収用や差別的措置の際の義務的補償を決定する。
4.「我々はこのモデルを強化したい。すでに署名された協定の実践がそのテストとなる」とコセンデ外務省経済金融局長は述べる。これは、これまで、ブラジルがほとんど貢献してこなかった分野におけるニュースであり、新たな投資協定は、米州サミットにおいて、紛糾する政治アジェンダと競争するにふさわしいアジェンダである。