4月23日付け及び24日付けブラジル各紙は、ペトロブラス社が22日夜に発表した2014年第3四半期及び2014年年間決算について報じており、オ・グローボ紙を中心にまとめたところ、概要以下の通り。
1 ペトロブラスの2014年決算関連
(1)汚職による損失額は62億レアル。この金額は、汚職疑惑に関する捜査において供述されたとおり、談合を行ったとされる全企業との契約金額の3%から割り出された。内訳は、55%にあたる34.2億レアルが精製部門、32%にあたる19.7億レアルが原油・天然ガス探査(開発)生産部門であった。
(2)資産評価損は446億3,000万レアル。内訳は、リオ石油化学コンビナート(Complexo Petroquimico do Rio de Janeiro-COMPERJ)が218億レアル、Abreu e Lima製油所(現在の正式名はRefinaria do Nordeste(Rnest。北東製油所)。ペルナンブコ州)が91億レアルであった。
(3)原油価格の低下による損失額は約100億レアル。
(4)2014年の損益は215億8,000万レアルの赤字。ペトロブラスの年間損益が赤字となったのは1991年以来初めてである。
(5)投資額は、昨年の約350億ドルに対し、今年は17%減の290億ドル、来年は250億ドルの予定。
2.ペトロブラス社の発表・ベンジーニ総裁の発言
(1)工事において横領された資金を取り戻すため、談合を行った企業を起訴し、物的・精神的損害、罰金を請求する予定である。
(2)今後、利益が早く還元されるプロジェクトを優先し、利益率の低いプロジェクトの実施は先延ばしして、財政再建に努力する。
(3)資産を売却し、今年30億ドル、来年は100億ドルを獲得する計画である。その中で、プレサル油田の権益の一部を売却することも有り得る。
(4)以上により、積み上がった負債額を減少させると供に、負債率を低減させることが重要である。
(5)2015~2019年の5カ年事業計画は30日以内に発表する。
(6)ペトロブラスは、株主、請負会社、市場からの信頼を回復するための第一歩を踏み出した。今後は前進するのみである。
3.市場の反応
(1)これがターニングポイントとなるのは間違いない。しかし、負債の削減、適切な資金獲得計画の策定、利益回復、負債率の低減等、多くの課題が前途にあるのも確かである。
(2)監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)はこの決算を何ら条件を付けることなく承認したということは好感出来る。
(3)23日、ペトロブラス普通株は5.63%高で、同社の時価総額は1,770億レアルとなった。しかし、優先株は、今年配当が行われないと発表されたことから、1.52%減となった。また、その影響は為替レートにも及び、1米ドルは3レアルを若干下回るまでに下落した。