4月9日付ブラジル「エスタ―ド・デ・サンパウロ」紙は、香港上海銀行(HSBC)がブラジル及びメキシコ事業の売却を検討していると報じているところ、概要以下の通り。

 

1.7日、メキシコのメディアは、HSBCがブラジル及びメキシコでの事業を売却するだろうと報じた。メキシコ紙El Financeiro紙は、スコシアバンク(加系)とVe por Mas銀行(墨系)が買収交渉にあたっていると報じている。エスタ―ド紙の取材に対し、HSBCは市場の憶測に対するコメントは控えるとだけ回答した。

 

2.ここ3週間で、HSBCが事業売却を行うとの噂が広く喧伝されるようになった。企業の買収・売却のサポートを手がける、ある投資銀行の幹部は、HSBCの事業売却案件への参画を模索しているというが、現時点でHSBCはこのような(事業売却の)サポートの打診は受けていない。

 

3.HSBCの筆頭取締役であるスチュアート・ギルバーが、決算公表のためのアナリストとの電話会議の席上、事業の売却について質問を受けた際に、HSBCグループの一部はコストを補うだけの収益をあげておらず、リストラに努めていると発言したことから、事業売却の憶測が広まり始めた。また、ギルバー氏は、比較的収益の低い、ブラジル、メキシコ、トルコ及び米国事業の担当者と対話を続けていることにも言及した。

 

4.市場は、ギルバー氏の発言から、年々収益が悪化している伯事業が売却されようとしていると理解した。昨年、イタウ銀行やブラデスコ銀行が過去最高の収益をあげた一方、HSBCは2億4700万ドルの赤字となった。2013年は3億5100万ドルの黒字、2012年は11億2300万ドルの黒字だった。HSBCの上層部は、収益の悪化は伯経済の減速によって説明されるところが大きいとしている。しかし、一部のアナリストは、HSBCは予想以上の引当金を積まなければならないと予想している。

 

5.HSBCはバメリンドゥス銀行を買収してから伯市場で成長し、現在、資産規模で伯7位につけている。