私も海外生活15年半とかなりの長きにわたったが、その間、多数の外国人と面談・取材した。その経験から、面談相手の外国人から必要な情報をいかにうまく引き出すかを真剣に考えた。

日本から多数のミッションや政府関係者、団体、企業の方々を受け入れた。同行して相手国の役所、団体、企業を訪問する機会が数多くあったが、必要な情報を手に入れることができないケースが多々あった。その原因を分析すると次の4点となる。

  1. 時間の配分を事前に考えない。
  2. わかりきった質問、ポイントのはずれた質問をする。
  3. 質問の優先順序を考えない。
  4. アポイントの相手が適材ではなかった。

以下説明しよう。

  • 時間配分については、相手が重要な人物であればあるほど、事前に考えておかなくてはならない。何故なら要人は、当然多忙であるから多くの時間が割けないからである。したがって、30分なら30分、1時間なら1時間の中で取材しなければならない。
  • わかりきった質問をするミッションが多い。一般的な質問、公表されている情報や統計についての質問は避けなければならない、何故なら、ラテンの要人は、総じて話が好きなので、延々としゃべりだすからである。その結果、時間切れになり、最も重要な質問ができなくなることになる。
  • 質問の優先順序を考えないケースも多々ある。優先順序をしっかり押さえておけば、とりこぼしがなくなるので良い取材ができることになる。
  • アポイントの相手が適当でない場合も時々発生する。この場合はどうしようもないが、アポイントを取る場合は、適材適所の人材でかつできるだけ高い地位の人物を選ぶことが必要である。

私は数多くの失敗を経験した結果、次のようなやり方がベストだと言う結論に達した。すなわち、最初に、①たくさん質問したいことがある、②時間も限られているので、優先順位をつけた質問リストを用意していること、③そのリストに従い質問したいが、その方法で良いかということを相手に尋ね、その後質問に入るというやり方である。この方法は、概して好意的に受け止められた。何故なら、真剣に取材しようという姿勢が相手方に伝わるからである。

相手がこちらの必要とする資料を用意してくれれば、ベストであるが、そこまでは望めない。ミッション側が資料やデータを要望した場合、相手側は、ミッションメンバーを喜ばせるために、追って資料を届けるという発言をすることがある。しかし、この発言は要注意である。後で送ってもらったケースは極めて少ない。ミッションが帰国後、要望した資料はどうなったかという問い合わせが入るが、その場で入手しない情報は無かったものと考えるべきである。

投稿者:桜井悌司 氏