3月24日、当国保健省は、オリンピック・パラリンピック期間中に医療アシスタンスの強化をする旨発表したところ、右概要以下の通り。
1.保健省はオリ・パラ期間中、観戦者への医療アシスタンスを強化する為、救急車146台を用意する。リオデジャネイロ州政府にこの費用として3千万レアル(注:約9億3千万円。救急車1台当たりの費用は640万円の換算となる。)が提供される。この、救急車のための費用は3回に分けて(3月、4月、8月)投入され、車両の購入、燃料費、物品購入費に充てられる。
提供予定の全救急車のうち、10台はすでに使用開始されており、残りはTatui市(サンパウロ州)にある。オリ・パラ終了後にはこれらの救急車は既存のSAMU救急車を刷新するためにブラジル全国に送られる予定である。
2.さらに、連邦病院やリオデジャネイロ州施設に130床の後方支援のための病床を確保する。130床の内訳は内科用62床、外科用58床、急性冠動脈疾患用4床、小児科用4床である。また、リオデジャネイロ州の連邦保健医療機関網に臨時に2,493人(医師、看護師、看護補助職、その他)を雇用する。オリ・パラ期間中に医療アシスタンスを助けるこれらの専門家達の約80%は既に今年の1月から雇用されている。
3.保健省は2014年のサッカーワールドカップで成功を収めたGuardioes da Saudeアプリを今回も提供する。各利用者がこのアプリを用いて毎日の健康状態を送信することにより、保健省はリオデジャネイロ市や州政府と共同で、ある特定の地域で報告される類似の症状の発生をチェックすることが可能になる。このアプリにより、疾病の増加を早期に検出することが可能になり、情報提供や必要な措置を取ることができる。
4.同アプリを通じて、この他にブラジルで多いネッタイシマカ媒介感染症等についての情報提供も計画している。例えば、ジカウイルスに特徴的な症状を送信すると、送信者は医療施設受診をするようメッセージを受け取り、GPSシステムにより最寄りのUnidade de Pronto Atendimento(公立病院網の救急外来)が表示される。アプリはPlay StoreとApple Storeで無料でダウンロード可能であり、5月にはオリ・パラを主題として新バージョンが出る予定。
5.CIOCS(Centro Integrado de Operacaoes Conjuntas da Saude;医療衛生統括オペレーションセンター)はオリンピック開始の1ヶ月前である7月5日から10月5日まで活動する。センターでは健康状態のリスク評価、受診の必要性、疫学衛生状態の監視、公衆衛生の緊急事態への対応を行う。CIOCSは2011年に保健省によって作られ、2013年サッカーコンフェデレーション杯や2014年ワールドカップの際に活動した。その際のCIOCSのモニタリングでは、関係者のうちわずか0.2%が会場外の医療機関への受診を要したが、過去の国際的な経験則からも、試合がある地域で総合病院を受診する必要性があるケースは0.2~0.5%であると予想されていた。
6.保健省のホームページでは、Saude do Viajante(旅行医学)のページも更新する。ポルトガル語、英語、スペイン語、フランス語でのアクセスが可能である。
7.オリンピックが開催される時期はネッタイシマカ媒介感染症の流行時期ではない。2015年8月はブラジルにおいてデング熱発生率が最少の月であった。伯保健省、リオデジャネイロ州保健局、リオデジャネイロ市保健局とオリンピック委員会は、一般市民が必要とする安全と平穏を保障するよう努力している。