ブラジル北東部に位置するペルナンブーコ州の州都レシーフェ(人口約162 万人)は、ブラジルの港湾都市で、かつてサトウキビ産業や奴隷貿易で栄えた。気候は1年を通して温暖で、湿度は平均70%~80%で、肌が乾燥することはない。町の中心部にはいくつもの大きな橋が架かり、ブラジルのヴェニスという異名をもっている。
2014 年ワールドカップでは日本初戦の地(対コートジボワール)で、多くの日本人が観戦に訪れた。地元ブラジル人の多くは日本を応援し、とてもいい試合だったと評価している。
そんなレシーフェのカーニバルは、ブラジル3大カーニバルの1つであるが、町中がカーニバル会場化し、富裕層も貧困層もみんな一緒になってカーニバルを楽しむ。
旧市街で行われるガーロ・ダ・マドゥルガーダ(夜明けの雄鶏)のパレードは、「世界最大のカーニバルパレード」としてギネスブックにも登録されたほどである。
ブラジル北東部には特有の文化があるが、レシーフェの「フレーヴォ」もその1つである。2012 年にユネスコの無形文化遺産として登録された。フレーヴォは、軽快な音楽とともにカラフルな小さな傘を振り回してアクロバティックに踊るのだが、もともとはカポエイラから変化してできたものだといわれている。
19 世紀後半、カポエイラのグループが楽隊の前方で武器を片手にレシーフェの街を行進していた時、他の対立グループと出会って喧嘩が始まり、多くの負傷者が出た。その後の警察取り締まりで、武器携行が困難となったグループは、いざとなると武器になりえる傘をカモフラージュとして持ったといわれている。時の流れとともに
元来の動機は忘れられ、小さな傘となって今もダンサー達の手に残っているのである。
年明けからカーニバル時期は、人々の熱気で溢れているが、今日も、レシーフェにブラジル全土、世界中から観光客が押し寄せている。
大野文子
(ペルナンブーコ連邦大学工学部内日本語講座日本語講師)