演 題:アグロフォレストリー草の根協力の経験から
講演者:NPO法人 HANDS  定森 徹氏

定森徹氏
NPO法人 HANDS
定森 徹 氏

リオやサンパウロに住むブラジル人にアマゾナス州マニコレ市の位置を質したところで、正しく答えられるのは10人に一人もいないだろう。ロンドニア州の州都ポルト・ヴェーリョ市とアマゾナス州の州都マナウスとを結ぶ直線のほぼ中間点に位置するマニコレ市、ノボアリプアナン市、ボルバ市という西部アマゾン地域における「健康的で持続的な農村開発プロジェクト」が、JICA草の根技術協力案件としてスタートしたのは2012年であった。

その現場責任者・プロジェクトマネジャーに任ぜられた定森氏が、農業開発手法として選択したのが、日系農協トメアス組合(パラ州トメアス市)が試行錯誤の末編み出した“トメアス式アグロフォレストリー農法”であった。アグロフォレストリー(AF)とは、農業と森林を融合した環境にやさしい農法、「二種類以上の植物をお互い影響し合う範囲に植える農法」であるが、1990年代に学者が設計したAFは、環境貢献を強調するあまり経済性に難点があった。経済性が担保される作物や樹種を工夫した結果、短期作物(野菜や豆、キャッサバなど)で農地開発を始め、徐々に永年作物・樹木(カカオ、アンジローバ、アサイなど)を植えていく、という“遷移型”のトメアス式AFが開発され、このノウハウをマニコレ地域に導入したのである。トメアス組合の小長野氏(現理事長)に来訪指導してもらったり、累計で50軒以上の地元農家にトメアスで実地研修させたりした結果、現在では、ほぼ30軒の農家がAF農法で具体的な成果をあげるようになっている。一番経済的に重要な作物はカカオであり、CEPLAC(農牧供給省カカオ院)、SEBRAE(中小企業振興サービス)などの関連諸機関とも連携して、加工から販売までレベルアップしつつある。

保守的な農家を説得してAFを導入し、カカオなどの商品作物を栽培するノウハウは確立してきたので、今後の課題は、加工・発酵技術の向上と販売の安定化である。

サンパウロ市のファヴェーラ(スラム街)におけるエイズ啓発活動を嚆矢として、アマゾンにおける公衆衛生・保健改善や農村開発、さらにはアフリカのアンゴラにおける母子手帳導入など、20数年に及ぶ協力活動を行ってきた定森氏の、重厚なる数々の実績の、ごく一旦を語る講演会となった。

 

定森徹氏 講演会 定森徹氏 講演会

定森徹氏 講演会 定森徹氏 講演会

日 時2015年8月19日(水)
14:00~15:30
講 師NPO法人HANDS 定森 徹氏
演 題アグロフォレストリー草の根協力の経験から
会 費会 員:2,000円
非会員:3,000円
※会費は当日会場にて申し受けます。領収書もご用意します。
会 場IDB米州開発銀行アジア事務所会議室(内幸町富国生命ビル16階)
アクセスマップ
都営地下鉄三田線「内幸町」駅 A6出口・・直結
JR山手線・京浜東北線・東海道本線「新橋」駅 日比谷口・・徒歩6分
東京メトロ千代田線・日比谷線「霞ヶ関」駅 C4出口・・徒歩3分
東京メトロ丸ノ内線「霞ヶ関」駅 B2出口・・徒歩5分
お問い合わせ日本ブラジル中央協会 事務局
E-mail:info@nipo-brasil.org