演 題:ブラジル-そのジェイチーニョの世界
講 師:武田 千香氏(東京外国語大学教授)

ブラジル流社会遊泳術を象徴するキーワード、ジェイチーニョについての研究を人類学者たちが発表し始めるのは1980年代以降であるが、2千人以上によるアンケートを基に政治学者A・C・アルメイダが著書『ブラジル人の頭』(初版2007年)で要約的に明らかにしたのは、「ジェイチーニョは正しい、間違っている」についてのブラジル人の意見は、五分五分であったことだ。

武田千香教授
講演者
武田千香 教授

武田教授は、文豪マシャード・ジ・アシス(1839-1908)の古典的作品『ブラス・クーバスの死後の回想』(光文社古典文庫)のストーリーを分析したうえで、そこから読み取れる「秩序-脱秩序」「⇔<非・X>」の共存、千鳥足的な混在が、ブラジル(リオ・大都市)の人・社会そのものを反映している、と指摘した。そのうえで社会科学者による研究成果もふまえ、ジェイチーニョの四要件として、共感、話し方、愛嬌、必要性があること、ジェイチーニョの世界における対等性(財力、権威は無視)、善悪という価値基準からの逸脱、を再確認する。

さらには、サッカーにおけるジェイチーニョであるマリーシア、ブラジル的エトス「cordialidade心温かさ、真心」、さらには身体性と密着したブラジル文化の特徴についても言及し、1時間半に及ぶ、なんとも濃密な、熱血講義が展開された。
質疑応答を含め、“規範からずれる”ブラジル世界へのsimpatico(思いやり)感覚が、満席(42名)の参加者全員に共有された時間帯となった。

大前会長挨拶 堀坂先生挨拶

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武田千香教授

日 時2015年1月23日(金)12:00〜14:00
会 場アークヒルズクラブ
住所:港区赤坂1-12-32 アーク森ビル イーストウィング37階
電話:03-5562-8201
交通:地下鉄南北線「六本木1丁目」駅3番出口より徒歩1分
   地下鉄銀座線「溜池山王」駅13番出口より徒歩2分
講 師武田千香 東京外語大学教授
演 題ブラジル-そのジェイチーニョの世界
参加費会員5,000円 非会員6,000円
(当日会場にて領収書と引き換えに申し受けます)