演 題 : ジャパンハウス等、サンパウロ総領事としての勤務を振り返る
講演者:中前隆博 前在サンパウロ日本国総領事館総領事(新外務省中南米局長)
8月3日フォーリンプレスセンターで中前 前在サンパウロ総領事(現外務省中南米局長)をお招きして「ジャパンハウス等、サンパウロ総領事としての勤務を振り返る」との演題で講演頂いた。
中前局長からは、まず本年5月にサンパウロでオープンしたジャパンハウスについて、「そのコンセプトは、施設ではなく、現象を作ること。いかにその地の民意を惹きつけるか」であり、そのために企画には、外務省(官僚)は口出しせず、企画、総合デザイン等は隅研吾氏、原健也に、また大半がブラジル人スタッフである事務局に運営を委ねているが、これまでのところ非常に上手く運営されているとの説明があった。言い換えれば、日本と言えば、従来は相撲、富士山、着物等を思い浮かべたが、それよりも日本、日本人の持つ繊細さ、洗練された技術などを分かり易く見せる発信基地にしたいとの説明がなされた。
また年間、15万人の来場者を設定し、サンパウロのトップ10に入る文化施設を目指しているが、現在まで予想以上のパーフォーマンス、来場者となっているとのこと。今後も、この事業を請け負った電通以下、関係企業、関係者のご尽力に期待したいと。
次にブラジル経済の現状について、以下の説明があった。
- ブラジル経済は、世界7位から9位に落ちたとは言え、世界の大国の一つ。
- 2015年△3.8%、2016年△3.5%とマイナスの成長が続いているが、低迷の原因は、資源価格の下落とルーラ労働党政権の失政 (①バラマキ、②イデオロギ―優先、③ブラジルコスト放置による国際競争力の低下)
- 現在は、インフレが6.29%に低下する一方、マイナス成長、失業率の上昇(17%)等でデフレーション下の低成長となっている。
- テメル政権の支持率も5%と非常に低い。テメル大統領は、自身は選挙に選ばれた 訳ではないとして、来年秋の大統領選に出馬しないとしているが、一方、彼の他に誰がいるのかとの見方もある。
楽観出来る点は金融市場が非常にしっかりしている点であり、外貨準備高は3000億ドル以上と膨大。また、インピッチメントもそうだが、法の支配に基づき、政治が運営されていること。またプレスを含めた言論の自由は保証されている。この状況を切り抜ければ明るい未来が待っているのではないか。
サンパウロ在勤中には、日系社会の多くの方と話をする機会を得た。今後の課題は、その日系社会をどう支援するか、そして日本からの駐在員と日系人がいかに交流を深めるかという点であろう。ブラジルは、世界のスタンダードに合わせるべく、漸くOECDへの加盟申請を行った。メキシコは既に1994年に加盟しているが、同国への日本からの進出企業は1111社とブラジルに進出する企業数を追い抜いた。
今後は、いかにブラジルが世界スタンダードになっていくかにかかっている。
Alternativa Onlineにて放送されました。
公演の映像は番組開始から13分50秒後辺りにあります。
日 時 | 2017年8月3日(木) 14:00~15:30 |
会 場 | フォーリン・プレスセンター
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会 費 | 【個人会員】1,000円 【法人会員】2,000円 【非 会 員】3,000円 |