2023年4月20日(木)、日本ブラジル中央協会の役員5人で友綱親方と会食の機会を得ました。
目的は、昨年8月に引退し、今年10月1日に断髪式を予定している友綱親方にお会いして、当協会として何か親方を慰労するイベントを行えないかと考え、食事にお誘いしたもの。親方お気に入りのシュハスカリア・キボン浅草店での会食となりました。
親方のお人柄もあり、とても楽しく軽妙酒脱なお話をお聞きすることが出来ましたので、親方のプロフィールと共に主なやりとりを書き記してみます。

友綱親方のプロフィール

1986年12月18日生まれ。現在36歳。日系ブラジル人3世(父親が日系2世で母親はイタリア・ドイツ系)。
本名はリカルド・スガノ、四股名は魁聖一郎 (一郎は父親の名前)サンパウロ州サンパウロ出身。19歳の時に来日し、当時の友綱部屋に所属(その後大島部屋に)。193cm、190kg。初土俵は2006年。最高位は東関脇。2022年7月場所で引退。幕内には60場所、10年在籍し。敢闘賞3回受賞。

会食中のQ&A

Q: 相撲を始めたきっかけは?
A: 16歳の時に父親の知り合いの日系人に体が大きいから相撲をやらないかと誘われ、開始。サッカーは好きではなかったが、柔道をやっていたこともあり、相撲には直ぐに入り込めた。背が高いのは母親ゆずりで、兄弟皆背が高い。
*全ブラジル相撲選手権無差別級での優勝経験がある。

Q:  来日した際の体重は?体重を増やすため苦労は?
A: 来日した際に既に140kgあり、無理に体重を増やす必要はなく、むしろ親方には食べ過ぎに注意するよう言われていた。

Q:  来日時の食事での苦労は?その他、新弟子の時に兄弟子からの鉄拳などはなかったのか?
A: サンパウロで魚を食べることが殆どなかったため、ちゃんこ鍋でも魚が入ると魚はもちろんその匂いも嫌で苦労した。またアルコールは苦手で(この日も終始Guaranáガラナを飲んでおられました。)、甘いものが好きだが、日本のスウイ-トの甘みが足りず、母親に作ってもらったスウイーツ、Bolo de chocolateとかRomeu e Julieta (ゴイアバーダとチーズのサンドイッチ)とかが食べたかった。因みに母親の来日時にそれを部屋の皆にふるまってもらったが、甘すぎるとあまりに人気がなかった。

入門時の友綱部屋は親方も先輩力士も優しく、鉄拳などの暴力はなかった。

Q:  相撲界での交遊は?
A:  元高見山には同じ外国人力士の先輩であり、また部屋も近く出稽古に行く機会も多く親しくさせてもらった。浅香山親方(元魁皇)、大島親方( 元旭天鵬)、尊敬し憧れた先輩であり、とてもお世話になり、可愛がってもらっている。横綱白鳳以下、モンゴル出身の力士とも親しい。彼らは皆酒豪(笑)。

Q: 日本語は直ぐにマスター出来たのか?
A: 入門時にもう一人ブラジル人の相撲取りがいたが、部屋では日本語以外の言葉を話すことは厳禁であり、
日本語をマスターしないと生活が出来なかったので、短期間にマスターした。

Q: 幕内で10年活躍したので大分貯金も出来たのでは?
A: 友綱親方の名跡を買い取ったこともあるが、相撲取りは、付き人、その他にご馳走したり、結構、出費も多く、貯金はあまりない(笑)。親方として、今後65歳まで働けるが。

Q:  一番印象に残っている取り組みは?
A: 2018年名古屋場所10日目の高安(当時大関)との取組で結びの一番で会場の雰囲気が違った。
また、その一番に勝ち、もらった懸賞金(34本)が親方にとっては最高の本数であった。
因みに懸賞金は、一本6万円で、その内55千円が力士の手取り。但し、3万円は相撲協会が引退後のために貯金。

Q:  力士の副収入
A: 前述の懸賞金が一番大きな副収入。部屋の後援会組織が懸賞金をかけてくれたりする。
魁皇関が引退する場所に毎日懸賞を出してくれる後援者がいたが、魁皇は10日目で引退で途中休場となった際、11日目からは魁聖の取り組みに切り替えてくれた。しかし、何と11日目から15日の千秋楽まで5連敗してしまい、懸賞金をもらえなかったことが苦い思い出である。
懸賞金の他に、横綱白鵬の露払いをやっていた時期もあるが、露払い、太刀持ちには、一日辺り1万円の日当が出る。

Q: 結婚は?
A: 2020年6月に米国出身の日本人の一般女性と結婚した。

Q: ブラジルサッカーチームはどこが好き?
A: パルメイラスのファン。

Q: 親方としてのご苦労は?
A: 後進の指導に励む毎日ながら、次世代を担う弟子不足が最大の悩み。自分がいる大島部屋も親方3名に対して力士6名。今は新弟子検査も身長167センチ以上、体重67キロ以上まで体格基準を緩和。(親方から頂戴した名刺の裏面にも、新弟子募集と紹介が印刷されてました。)

Q: 今後の予定は?
A: 10月1日(日)に国技館で断髪式。今は大島部屋付きの親方だが、近い内に元魁皇の浅香山部屋に移る予定(大島部屋の部屋付きの親方が3人もいるので)。

兄弟子、魁皇の浅香山親方と魁聖の友綱親方の浅香山部屋からどんな力士が誕生するか楽しみですね。ご多忙な友綱親方ですが、今後の協会の催しにゲストとしてお招きする予定ですのでご期待ください。