伯経済(新たな穀物輸送施策の発表)

1月13日、伯農務省、運輸省、及び港湾庁が共同で2014/15収穫期の穀物輸送に向けた施策を発表し各省がホームページに掲載したところ、概要以下の通り。

1.連邦政府穀物(2014/15収穫期)輸送のための施策発表
1月13日アブレウ農務大臣、ロドリゲス運輸大臣、アラウージョ港湾庁長官は、2014/15期の穀物輸送を可能にするための戦略的取組を発表した。これは、国家食糧供給公社(Conab)の収穫予測で新たな記録更新となる2億トン以上(特に大豆)の収穫を見込んでのことである。本施策の目的はマトグロッソ州、ロンドニア州、トカンチンス州、マラニョン州の北部輸送路(アルコノルチ)の様々なルートのインフラ改善及びサントス港へのアクセスルートでの車両渋滞を回避するために採られた取組を継続することである。
これらの取組の中で、「ロ」大臣は国道BR163の工事は進行中であり、2016年までに残りの136kmの舗装が完成されると伝えた。また、ヴァーレ運輸次官は「穀物輸送に向けた道路、水路、鉄道の様々な輸送手段の統合の重要性」を強調した。「ロ」大臣は本年下半期にサンパウロ州政府との協力でチエテ水路で実施される投資、額にして21億レアルについてもコメントした。
一方、「ア」大臣は2014/15期に過去最高となる収穫予測に触れ、3省が協力して取組を継続し、輸送の改善及び近代化を進める意思を示した。また、Matopiba地帯の近年の生産拡大を前に、イタキ港やベレン港のインフラ整備の必要性を説いた。
同施策は国家運輸インフラ局(DNIT)、国家陸運庁(ANTT)、国家水運庁(ANTAQ)、企画・ロジスティクス公社(EPL)、Conab、サンパウロ州港湾公社(Codesp)、国家運輸連盟(CNT)、農畜産業連盟(CNA)の参加協力を得て、農務省、港湾庁の技術者を中心とした作業グループが連携してつくりあげた。

2.運輸省の施策
(1)全輸送ルート
・良好な道路交通状況を確保

(2)北部ルート(アルコノルチ)
(ア)6州(MT/RO/AM/PA/TO/MA)の複数の輸送ルートのインフラ改善
(イ)BR-163/MT/PA(マトグロッソ州ソリゾとパラ州ミリチトゥバ間)945kmの通行の確   保
・舗装区間(809km)>全区間で保持のための契約締結
・未舗装区間(136km)>追加的に以下の内容を実施予定
・泥地に砂利を敷設
・車両救出のための救出パトロールの実施
(ウ)BR-163/PAの舗装工事及びBR-163/364/MTの2車線化の工事継続
(エ)北部ルートのその他道路(BR-364/174/158)の保持
(オ)マデイラ川の浚渫(2014年11月完了)
(カ)北部ルートの複数輸送手段へのインセンチブ
・FMM(伯海洋ファンド)の資金でマデイラ/タパジョス水運オペレーションのため    の426船舶に融資

(3)サントス港へのアクセス・ルート
(ア)国家陸運庁(ANTT)の監視改善:スケジュール管理と交通監視
・監視ポスト
固定4箇所(リメイラ/SP(バンデイランテス道とアニャンゲラ道)、アパレシーダ/M S、パラナイバ/MS)及び移動式1箇所 (トレス・ラゴアス/MS)
・リアルタイムでの技術サポート
(イ)道路インフラの改善:道路の複線化(DNITとコンセッション企業)
・BR-060/GO(ゴイアニア-ジャタイ):2014年10月完了
・PIL道路:進行中(BR-050/060/163の213kmを複線化)
(ウ)鉄道インフラ利用へのインセンチブ
・港湾アクセスにおける能力の拡大及び運営改善
・カンピーナスとサントス間(223km)の鉄道2車線化:95.5%完了、2015年3月完成予定
・ロンドノポリス/MTの積み換え地点を活用した物流の最適化により2014年より輸送10%  増へ
・港湾内の鉄道インフラ・運営改善のためにANTT及びANTAQの共同監視

3.港湾庁
(1)穀物輸送の運営ガバナンスシステムの更新:官民の新たな部門を穀物輸送改善計画 に統合し、現地オペレーションの連携での港湾当局の機能を強化する
(2)サントス港のアクセス・スケジュール管理を規制するルールを深化させる
(3)その他関係機関チームの支援を得て、スケジュール履行の監視プロセスを改善する
(4)サンパウロ州港湾公社(Codesp)がサントス港行き穀物トラックの新たな振り分けスペースを許 可する。
(5)ポルトログ(注)と称するトラックの新スケジュール・順序管理システムを試験的に導入。これは12公共港(サントス(パイロット・プロジェクト), サンタレン, イタキ, ペセン, フォルタレーザ, スアペ, アラトゥ, ヴィトーリア, リオデジャネイロ, イタグアイ, パラナグア, リオグランデ)を含む「スマート港湾物流網」プロジェクトの一部をなす施策である。

注:ポルトログ
新スケジュール・順序管理システム(ポルトログ)は小規模ではあるがサントス港の穀物ターミナルで既に採用されており、将来的に現在のスケジュール管理システムSGTCを置き換える。現システムと異なる改善点として、ポルトログの発展的機能により港湾当局が同港に向かうトラックの量に関する情報を先んじて入手し、より良いオペレーション計画及び緊急事態の対処が可能になることが挙げられる。
その他の輸出向けに使用される港湾に関しては、車両の数が比較的少なくサントス港と同様の状況は発生していない。大豆輸送で第二位のパラナグア港では、既に10年以上前より非常に効率的にスケジュール管理システムが機能している。
一方アルコノルチと呼ばれる地域の港湾では、公共ターミナルも民間ターミナルもこれらの港湾より輸送する穀物量を処理するために全体として1億トンの最大許容量を有している。
さらに港湾オペ・取扱能力に関しては、2015年以降の輸出向け大豆輸送の改善につながるインフラ及び港湾アクセスへの投資が注目に値する。すなわちヴィラ・ド・コンデ港の港湾に面した敷地の変更開発、イタキ港のTEGRAM設置、アルコノルチにおける民間ターミナル建設許可を含む施策で総額10億レアルに達し、年2300万トン穀物輸送能力を向上させることになる。

4.農務省
(1)収穫量
・2013/14収穫期の伯の総生産量(綿花、米、フェイジョン豆、小麦、トウモロコシ、大豆)は1億9,338万610トンであった。他方、2014/15期の収穫量予測は農務省及びConabの観測によると前期比5%増の2億2,138万8,380万トンである。
・統計上で注目すべき点は大豆と大豆かすの収穫である。2014年収穫期において8,612万80トンの生産を記録した。本年は11%増の総額9,591万9,800トンが予測されている。このうち43%が輸出向けである。
・総じて伯穀物生産の大部分が中西部に集中している。地域的分布は2億220万トンのうち中西部が8,500万トン(42%)、南部が7,170万トン(36%)、南東部が1,920万トン(9%)、北東部が1,910万トン(9%)、北部が680万トン(4%)である。
(2)Matopiba地域の開発
・統計によると、同地域での生産は日ごとにめざましく発展している。同地域はマラニョン州、トカンチンス州、ピアウイ州、バイーア州にまたがる伯農業フロンティア地帯である。2014年同地域で大豆と大豆くずは計860万トン(2014年生産量全体の15.2% )生産され、2015年には1,050万トン(2015年生産量予測全体の17.2%)にまで増加すると見込まれる。
(3)輸出増加
・2013/14収穫期には6,150万トンの大豆とおがくずが輸出された、2015年は生産増により6,420万トンに増加する見通しである。これは輸出全体で6.2%増を意味する。
・統計によると、輸出はサントス港とパラナグア港に集中(2013/14収穫期の輸出の50%)している。一方で、ポルト・ヴェーリョ, イタコアチアラ, ミリチトゥバ, サンタレン, バルカレナ, サン・ルイスからの輸出の増加も注目すべきである。
・サペザルからイタコアチアラまでの、生産者の1トン当たりの輸送コストは約202レアル(流通価格は885レアル)、ソリゾからサントスまでの輸送コストは1トン当たり約260レアルとなった。(了)