演 題:ブラジル食品飲料市場の最新事情
講 師:麻生雅人氏(『Mega Brasil』編集長)

『ブラジル・カルチャー図鑑』(共著、2012年)や『おいしいブラジル』(2016年)などの著書で知られる麻生雅人氏に最新のブラジル飲食市場について語っていただいた。

成長する健康食品市場

2015年のデータ(年間275億ドル)によれば、健康食品市場としてはブラジルは世界

第5位、過去5年間の成長率は44%と急成長中。砂糖の過剰摂取が当たり前であったブラジルで、シュガーフリー、グルテンフリー、ラクトース(乳糖)フリーといった機能性食品やオーガニック食品(野菜・果物)が市場を拡大中、さらには地ビール(クラフトビール)や地カシャッサも。オーガニック市場(国内)は年間32億レアルとなり、健康食品メーカーの先駆者「Jasmine」(1990年クリチーバで設立)は、2014年大塚製薬が買収したが、一層地歩をかためつつある。

伝統的に食されてきた、マンジョッカ由来のポンデケージョ(ミナスから全国へ)、タピオカ(ノルデスチから全国へ)、とうもろこし由来のボーロ・デ・フバーなどが、グルテンフリーとして再評価されている。

「多様性」を生む6つのバイオーム

国土の広いブラジルは、6つのバイオーム(生物群系)に分けられ、それぞれが独特の食文化を育んできた。

  1. アマゾニア(熱帯雨林)
  2. パンタナル(雨季には面積の8割が水没)
  3. セラード(サバンナ気候)
  4. カーチンガ(熱帯乾燥地帯、旱魃頻発)
  5. マタアトランチカ(大西洋岸森林帯)
  6. パンパス(大草原)

このうちの⑤からは、アラウカーリア(パラナ松)やカンブシーといった原生植物の健康機能が再評価され、④ではウンブー(Spanish plum)が注目される。複数のバイオームを有するミナス州では、クラフトビール、手作りチーズ、などに注目したい。多様なバイオームが生み出す産物の健康機能性が科学的にも市場経済的にも再評価され市場を広げつつある。

アルテザナウ(小規模生産、手作り)

手作りチーズではミナス州のエスタンシア・カッピン・カナストラ農場のチーズがフランス「国際チーズコンテスト」で銀賞を受賞(2015年)。地カシャッサやクラフトビールに関しては、各地の産地の特色を生かした、地方色溢れる“グルメビール”が年間30%以上のペースで成長中だ。また、不味いといわれたブラジルのチョコレートもバイーアやアマゾンの産地(アグロフォーレストリー農法によるカカオ栽培)の味を生かしたグルメ・チョコも市場を開拓中だ。

 

健康食品や地方産品と出会える場
  1. セレクトショップ
    オーガニック食品・機能性食品では南米最大のチェーン「Mundo Verde」、1987年ニテロイで創業、2016年現在、国内で380店以上
  2. 高級スーパー
    世界最大のイタリア食(量販&レストラン)チェーン「イータリー」のサンパウロ支店(2015年開店)、あるいは、老舗のサンタルジーアとか
  3. 営中央市場(Mercado Municipal)
    サンパウロ(カンタレイラ)やクリチーバの中央市場が有名だが、最近の注目マーケットはピニェイロス地区のメルカドだ(有名チェフのアレックス・アタラらの主宰で各地の健康食品のアンテナショップが注目されている)。
  4. フェイラ(朝市)
    リオやサンパウロの多くの地区で定期的に開かれるフェイラにも様々な健康素材・食品がおかれている。

健康食品市場が成長してきた要因としては、1)経済的理由(消費者の経済的余裕)、2)美容ないし予防医療、3)環境問題など社会的意識の変化、4)おいしさ、5)ライフスタイルの変化、等々を指摘できるが、ブラジルの飲食文化は一層多様化し進化途上である。

 

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日  時 2017年1月27日(金)

14:00〜15:45(13:30受付開始)
会  場 IDB米州開発銀行アジア事務所会議室(内幸町富国生命ビル16階)

アクセスマップ
都営地下鉄三田線「内幸町」駅 A6出口・・直結
JR山手線・京浜東北線・東海道本線「新橋」駅 日比谷口・・徒歩6分
東京メトロ千代田線・日比谷線「霞ヶ関」駅 C4出口・・徒歩3分
東京メトロ丸ノ内線「霞ヶ関」駅 B2出口・・徒歩5分

会  費 【会 員】1,000円
【非会員】2,000円
お問合せ 日本ブラジル中央協会 事務局 宮田・上条
E-mail:info@nipo-brasil.org