会報『ブラジル特報』 2010年11月号掲載
進出企業シリーズ第9回

                           川添 英世 (FISA代表取締役会長)


はじめに

   FURUKAWA INDUSTRIAL S.A. Produtos Eletricos社(略称FISA)は、1974年6月に古河電気工業株式会社と三井物産株式会社の合弁会社として設立され、サンパウロ州ロレーナ工場で電力ケーブルを、1977年6月からパラナ州クリチバ工場で通信ケーブルの製造を開始しました。2003年5月にはロレーナ工場を売却し、2007年末に古河電気工業株式会社の完全子会社として、現在通信ケーブル(メタル通信ケーブルならびに光ケーブル)やインターネット通信用LANケーブルとその関連製品の製造・販売を行っており、2010年6月でちょうど満36年になりました。

会社概要

所在地:本社・工場 :パラナ州クリチバ市

工 場:アルゼンチン共和国ブエノスアイレス

    州ベラサテギ市

営業所:サンパウロ営業所、アルゼンチン支店

資本金122,120,000レアル(約60億1,000万円)

税引き後正味売上高267百万レアル/年

     (約131億円/年、2009年12月期決算)

従業員数:総数478名(2010年8月末現在)

活動概要

 1977年6月より通信ケーブルを、84年から光ケーブルを、91年よりLANケーブルを、95年からLAN関連製品の製造・販売も開始し、現在に至っています。

 2008年6月にはアルゼンチンに光ケーブル工場を新設し、主にアルゼンチン国内向けならびにメルコスール向け光ケーブルの製造を行っています。

 FISAは、主に通信オペレータ向けに通信ケーブルと光ケーブルを、システムインテグレータや工事業者向けにLANケーブルとその関連製品(コネクタ付きLANケーブルやLAN部品)を製造・販売しており、売上比率はブラジル国内向けが約80%、海外向けが約20%です。

南米ビジネスについて

 日本に比べると6〜7年遅れですが、ADSL(メタル回線)によるインターネット需要が中南米では順調に増加しており、LANケーブルとその関連製品の売上が伸びています。

 南米全体で2009年末に推定3,400万のブロードバンド接続が実現されており、その普及率はまだどの国も11%未満ですので、これからまだまだ伸びて行きます。当地ブラジルでもブロードバンド接続数は1150万ほどで、まだ6%ほどの普及率であり、今後の伸びが大いに期待出来ます。

 ブロードバンドの高速化は当然のように中南米でも進展しており、ADSLでは1Gbpsから10Gbpsへの移行が予想され、さらに高速なFTTH(各家庭まで光回線)のトライアルも2007年からいよいよ始まり、2008年にはテレフォニカがサンパウロ州でFTTHの導入を開始しました。隣国のアルゼンチンやチリなどでもFTTHのトライアルから導入が始まっており、本格的な導入はまだまだ先になりますが、FTTHも中南米全体に今後着実に進展していくものと予想しています。

 ブラジル市場で実績を積んで来た販売網構築手法を他の中南米国にも適用し、ブラジル外への事業拡大を図るとともに、FTTH向けも含めた高速大容量通信向け光ケーブルの需要が中南米で堅調に増加して来ているため、米国にある古河グループのOFS社と連携し、製品ラインナップの強化、製造・納期対応力の向上、ブランド力の強化とシェア拡大を図り、売上増大を目論んでいます。

むすび

 当社はブラジルに根付いた会社と自負しており、今後も地道にブラジル社会、中南米の近隣国への貢献をして行く所存です。

クリチバの本社・工場航空写真