高嶋尚生(協会理事)

 南大西洋に浮かぶ楽園フェルナンド・デ・ノローニャは、ペルナンブーコ州の州都レシーフェ から 545km北東に位置する面積26㎞ 2 の小さな離島。レシーフェから空路1時間強で着く。この島の歴史は16 世紀の大航海時代まで遡る。ポルトガル王の援助を受け南米大陸東岸を南下していたイタリアの航海者アメリゴ・ヴェスプッチによって1503 年に発見された。その後、イギリス、フランス、オランダなどによる占領、放置が繰り返されたが1737 年にポルトガルが最終占領。18世紀の終わりには政治犯を収監する刑務所が建設されている。第二次世界大戦中は、米国海軍支援基地も設置された。戦後1988年、ペルナンブーコ州に統合されブラジルは漸く自然保護へと乗り出した。
エメラルドグリーンの透明度の高い海では、様々なマリーンスポーツ、アクティビティをエンジョイできる。ダイビングは初心者から上級者まで楽しめるポイントがいっぱいある。気楽に潜りたい人はシュノーケリングでもウミガメに遭遇できる。イルカウォッチングでは遊覧ボートを追いかけて海面を楽しそうに駆け抜けるイルカが観られる。早朝にサメウォッチングができる岩場もある。最高のサーフィンエリアもありハイシーズンの12 月から 3 月には国内外からサーファーが集まる。島を周遊したいならレンタルのオフロード・バギーで走ると気分もぐっと盛り上がる。
この島は2001 年に世界自然遺産に登録され、エコツーリズムの先進地としても有名。自然の美しさを保つため動物保護のために環境保全税なるものが設けられている。入島の際、空港で滞在日数に応じて1 日あたりR$ 92.89 レアル(約=約2,300 円。2023 年度)の支払いが義務付けられる。入島人数の制限もある。実際、環境保全は大変厳しく管理され、ブラジルには珍しくゴミは全く落ちていない。生活ゴミはすべて処理工場に持ち込まれ分別され、リサイクル可能なもの島内で処理されるが、残りは船でレシーフェに運ばれ最終処理される。また、「天然のプール」と呼ばれる岩場の磯はたくさんあるが、浅いところではサンゴや他の海洋生物を足で踏まないように常に水面に浮いていることが求められ、浮きベストの着用が義務となっているケースがある。監視員も見張っていて、自然保護は徹底している。
この離れ島にいると、どこか他の国のビーチリゾートに来ているような錯覚をおこす。おしゃれなポウザーダ( リゾート民宿) に泊まって、ゆっくり流れる時間の中でのんびりと過ごす。昼間は海で遊び、新鮮なシーフードも堪能して、夜は星を見上げて波音を聴きながら静かに体を休める。1 週間ほどステイするとほんとうに身も心も休まる。