ブラジルは日本の国土の23倍もの面積を持ち、豊かな自然と歴史、大らかな国民性に支えられた大いなる観光資源を持っている。しかしながら、その観光資源を十分生かした取り組みがなされていないため、日本をはじめとするアジア諸国からの観光客誘致には他の諸国と比べるとほど遠いものを感じる。
今や日本人の観光客は世界の至る所に足を運んでおり、最近の入国管理局の統計では日本人の海外渡航者数とブラジルへの日本人渡航者数は、下表のようになったが、2008年度は日本人ブラジル移住100周年という記念すべき年でもあり、観光客が大幅に増えたことは間違いない。旅行先別に見ると2007年度では40番目に位置し、1番目の中国(398万人)はブラジルの63倍もある。もっとブラジルへの観光客を誘致する運動をしなければならないと思っている。
日本人渡航者数 |
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2004年 |
2006年 |
2008年 |
海外渡航者数 |
1,683万人 |
1,753万人 |
1,599万人 |
ブラジル渡航者 |
60,806人 |
74,638人 |
81,270人 |
ブラジル渡航者比率 |
3.60% |
4.30% |
5.10% |
近年のブラジル経済は安定しており、外貨準備高も増加を続けている。2014年にはワールドカップ開催、16年のオリンピック開催に向けインフラ整備が急ピッチで進められることになるであろう。同時に観光客誘致で一番の心配事である治安問題については政府を挙げて支援体制をとっている。治安問題解決のために約50億円の地方都市犯罪対策基金を支出することを決定していることもあり、観光客誘致に向けての準備は進みつつある。しかしながら、日本とブラジルには「査証相互免除協定」がなく、観光ビザ取得のために様々な書類をそろえなければならない。他の南米諸国はビザなしで渡航できることを考えると改善する必要があると思われる。
ブラジルの観光資源としては9の文化遺産、7の自然遺産が世界遺産として登録されており、中でもイグアスの国立公園、パンタナール保全地域、中央アマゾン保全地域群などの自然遺産、古都オウロ・プレト、サルヴァドール・デ・バアイア歴史地区、ブラジリアなどの文化遺産など一度は訪れてみたい。世界遺産に登録はされていないが観光都市リオデジャネイロ、南米最大の商業都市サンパウロも見所が一杯である。かくも広大な大地と自然に恵まれ、歴史を育んできたブラジルの魅力は尽きることはないが、交通手段と移動に要する時間が障害となっており、日本からブラジルに移動するだけで往復3日間を費やすことになる。したがってブラジル国内の主立った観光地を回るだけで最低7日間、合計10日間は必要となってしまう。
ブラジルの魅力は大自然と歴史に止まることなく、大らかな人間性との出逢いがある。移民の国であるブラジルはあらゆる人種のるつぼであり、米国と比較すると人種差別もなく、様々な民族を受け入れてきた。特に東洋人である日本人はそのまじめさと勤勉さからブラジル人社会に溶け込み、大きな信頼を勝ち得て来ている。2008年6月には日本人ブラジル移住100周年を迎え、国をあげてお祝いをしてくれたのは記憶に新しい。ブラジル全国各地にはそれぞれの県人会組織、日本人会組織が存在し、日本からの旅行者を受入れ、歓待してくれるのも大きな魅力である。
ブラジルが持つ大自然はもとより、同胞人の活躍とブラジル人の大らかさを目の当たりにしてブラジルが好きになる。二度三度訪れることによって得体の知れない魅力にはまるのである。こうした人々との出逢いを目的とした様々な交流事業を柱とした交流団や農業視察団、工業視察団、商業視察団などの団体派遣、さらにはアマゾンやパンタナールを中心としたエコロジーツアーなどは一般募集の観光団と比べてまとまりやすいグループとなる。(社)自治体国際化協会の資料によると、日本とブラジルの間で交わされている姉妹都市提携は都道府県では11、市町村では46もの姉妹都市提携が存在する。こうした姉妹都市交流を人的交流だけに止まらず、提携している28都道府県の観光地から学べる観光資源開発は沢山あるはずである。
何はともあれ、ブラジルの魅力は訪れた人でないと分からない。様々な角度からブラジルを中心とした南米諸国を歩き、一人でも多くの人にブラジルの魅力を感じ取って欲しいと願っている。
ブラジルの主な観光地の写真 (写真をクリックすると大画面になります) |
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リオデジャネイロ・キリスト像 |
グァナバラ湾とポンデアスカル |
コパカバーナビーチ |
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二重の虹がかかったイグアスの滝 |
ブラジル側から見たイグアスの滝 |
アルゼンチン側「悪魔の喉笛」 |
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サンパウロ イピランガ独立記念碑 |
サンパウロ美術館 |
バンデイラス記念像 |
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ブラジリア・国会議事堂 |
カテドラル・メトロポリターナ |
労働戦士の像 |
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サルバドール・バーハ海岸海水浴場 |
カラフルなベロウリーニョ広場 |
ボンフィン教会 |
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ベレン・魚市場の巨大ナマズの切り身 |
カステロ要塞の砲台 |
1879年完成のオペラハウス平和劇場 |
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マナウス・オペラハウス アマゾナス劇場 |
アマゾン川の支流にて水中林を行く |
アマゾン川に沈む夕日 |
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イグアス・バードパークにてオオハシ |
ベニコンゴウインコのカップル |
パンタナールの野鳥・ズグロハゲコウ |
写真撮影: 内木秀道(シティ) |
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