会報『ブラジル特報』 2011年月号掲載

CAIXA ECONÔMICA FEDERAL(カイシャ・エコノミカ・フェデラル:ブラジル連邦貯蓄銀行)


 

CAIXA ECONÔMICA FEDERAL(カイシャ・エコノミカ・フェデラル)は、主に、州政府および都市のインフラ整備に関する融資も含めての企画、立案ならびに教育、医療、衛生関係、住宅取得への資金供給のほかに、個人ならびに民間生産部門への一般融資、年金基金と社会統合プログラム等を運用する最大の金融機関であり、多くのブラジル人にとって欠かせない存在です。
 CAIXA(カイシャ)は1861年1月12日に、預金の奨励と担保付貸付の提供を目的として、法令第2723号に基づきドン・ペドロ2世により設立されました。
 これらのサービスは、他の金融機関と異なり、預金を保証するだけでなく、当時他の金融機関が行っていたような、借入人に対して法外な金利を要求する市場に対抗するためでありました。
そうしてCAIXAは、奴隷解放証明書の購入によって自由を手に入れようとしていた奴隷や社会的身分の低い人々が資金を集めるのを助け、これらの人々から好まれるようになりました。CAIXAは設立当初から、社会問題に焦点を当ててきたのです。

今日では、CAIXAはラテンアメリカ最大の政府系銀行になっています。3,600以上の拠点を持ち、ブラジル国内5,564の市町村すべてにおいて、5,100万人のお客様にサービスを提供しております。

ブラジル連邦貯蓄銀行の本社ビル(ブラジリア)

 ブラジル財務省傘下の100%政府系銀行として、CAIXAは公共政策、特に都市開発やインフラ整備、低所得者向けの社会プログラムの実施に際し、重要な役割を担うことを目指しています。政府によるBolsa Família(家族給付金)プログラムにおいては、CAIXAのネットワークにより、1,300万世帯が援助を受けています。このプログラムにより、2003年から09年の間に、2,400万人ものブラジル人が低所得層から中間所得層に上がることができました。
またCAIXAは、50年前に、BNH(国立住宅銀行)を吸収合併し、市場の74%を占める大規模な住宅ローン融資を行う一方、都市開発、特に上下水道の整備に関する投資信託も斡旋しています。

 1986年、国立住宅銀行が取り扱っていたFGTS(FUNDO DE GARANTIA POR TEMPO DE SERVI0:勤務年限保障基金−退職金)を引き継ぐことになり、1990年には70以上の金融機関に管理されていた基金の口座を集中管理するとともに、基金の微集および労働者への支払い業務も管理するようになりました。

 CAIXAは設立以来、預金、貸付、FGTS,PIS(PROGRAMA DE INTEGRAのO SOCIAL:社会統合基金—主として低賃金従業員への補助)、失業保険、住宅資金を通じて国民との密接な関係を維持してきました。1961年より、国民に裕福な夢と生活を与える目的で、宝くじを独占的に運営し、全国10,446の売場では、伝統的な宝くじの販売だけでなく、各種料金の支払い、口座からの引出し、口座への入金等のサービスも提供しています。宝くじ販売による収益の一部は、社会貢献のために利用されています。

 長年にわたり、CAIXAは自身の使命の拡充を図るとともに、業務地域の拡大を続けてまいりました。結果として、預金者、労働者、社会統合基金の恩恵者ならびに年金者のアテンドをするのみではなく、ブラジル全土で、芸術、教育およびスポーツ関連企画の支援にも努めております。連邦政府に所属する国民の代表機関として深く国と関わり、また、地理的にも社会的にも人との融合に努めています。

 CAIXAはブラジル中央銀行の方針に従い、3か月毎に業績の公開を行っており、業務内容の透明化に努めています。
CAIXAは現在、日本、アメリカ、ベネズエラの3か国に在外駐在事務所を有しています。初めに設立されたのは日本駐在事務所で、2007年に静岡県浜松市に設けられました。日本で最も多くのブラジル人が暮らす地域(2007年現在約2万人在住)であり、業務提携を結んだ磐田信用金庫(本店磐田市)に近い場所として浜松を選びました。そして、2010年12月、CAIXAは日本駐在事務所を東京に移転しました。
提携銀行とともに、海外送金市場において、地域に暮らすブラジル人のお客様に最も安価なサービスを提供すべく尽力して参りました。地理的にブラジルと日本は離れていますが、CAIXAは日本においても常に社会に焦点を当てることを目指しています。
遠く離れた故郷ブラジルの文化の継承を目的とした、ブラジル人コミュニティにおけるさまざまなイベントに積極的に協賛することはもちろん、最近では、FGTS(退職金)の残高のあるブラジル人のお客様が、ブラジル領事館に申請書を提出することにより、FGTSの引出しを可能にするサービスの提供も始めました。
2011年1月からは、ゆうちょ銀行との提携により、日本全国どこに住むブラジル人のお客様でも、安価で簡単な送金サービスにアクセスできるよう、サービスを拡大しています。
また、日本の投資家の皆様によるブラジルのインフラ整備計画への投資事業においても、提携先を模索しており、浜松から東京への駐在事務所の移転により、実現しやすくなると考えております。

CAIXAは、今年1月12日、創立150周年を迎えました。関係者の皆様方に感謝申し上げるとともに、この喜びを分かち合いたいと考えています。また、ブラジル好きの日本人の皆様にも、ブラジルを好きになってくださりありがとうございますとお伝えしたいのです。なぜなら、直接的であれ、間接的であれ、CAIXAのことを好きになって下さると信じているからです。

出所:CAIXA 2010年12月状況 (単位:US$ Billions)