会報『ブラジル特報』 2014年5月号掲載
ブラジル日本都道府県人会連合会
ブラジル日本都道府県人会の主催するフェスティバル・ド・ジャポンは、初めは 「日本郷土食・郷土芸能まつり」として行われ、日本の文化、芸能、料理などを日系およびブラジルの方々に知ってもらうことを目的に開催された。またこのイベントは利益を追うものではなく、日本の伝統文化の紹介と普及の場と考えており、その後、フェスティバル・ド・ジャポンと名称を変え今日に至っている。
1998<spanstyle=’font-size:10.5pt;font-family:”MS Pゴシック”;mso-bidi-font-family:”Times New Roman”;mso-ansi-language:EN-US;mso-fareast-language:JA;mso-bidi-language:AR-SA’>年ブラジル日本移民<spanlang=EN-US>90周年を記念して、日本の郷土芸能・郷土食をブラジル国民および日系人に伝えるためにブラジル日本都道府県人会 (県連) の主催で始められた。イベントは日本で永い間受け継がれてきた郷土芸能や食文化を伝えるとともに、ブラジルの皆さんにも紹介したいと願いを込めて、サンパウロ市の後援によりサンパウロ市のセントラルパークともいえるイビラプエラ公園で<spanlang=EN-US>1998~2001年まで、園内のマルキーゼ、ヴィベイロの会場で開催。その後は近くのサンパウロ州議会駐車場で<spanlang=EN-US>04年まで開催された。規模が大きくなったこともあり、会場が手狭になり05年にサンパウロ州政府イベント会場であるセントロ・デ・エスポジソンエス・イミグランテ会場(現イミグランテス・コンベンション・センター) に移り開催されている。
県連主催のこのフェスティバルは、サンパウロ州のイベントカレンダーにも掲載され、3日間の入場者数は20万人を数え、海外で行われている日本祭では最大規模のものではないかと自負している。この開催には日本の企業はもちろんのこと、多くのブラジル企業からの協力、協賛があり、また多くの協会、団体の協力を得ている。
このフェスティバルへ遠距離 (100km以上) からの来場者は、グループで来場すれば金、土曜日の2日間は入場料が免除されるなど便宜を払っており、地方での日本人会などではこの制度を利用してバスを仕立てて来ている。
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フェスティバルジャポンの開会を告げる鏡割り |
テーマと内容
このフェスティバル・ド・ジャポンには毎回テーマを挙げている。2013年は『地球に優しい技術と進歩』 、そして14年のテーマは 『三方良し』 で、これは自分たちが幸せを感じられるならば、それをまず喜び、その幸せをさらに他の人にも与えていこうとする人間性豊かな心、ポルトガル語で“A Origem da Felicidade” を、今年のテーマとして掲げた。これは近江商人の言葉で、来場して日本文化に接し、日本の文化を楽しむ参観者にとって良く、また展示、販売しているスポンサーやバザー参加者にも良く、さらに郷土食を提供して日本文化の伝承に努める県人会の者、ボランティアの人たちにも良い、つまり第三者に対して良くあれと願って決めたテーマである。
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子供たちに人気の絵手紙展 |
フェスティバル・ド・ジャポンの主なアトラクションは、 「子供広場」。未来に夢を与える子供たちのためで、ここでは折紙やぬり絵、玩具、また子どもたちに料理をしてもらったり、昔話などをしたり、子供たちにテーマを与えて遊びや夢を与える広場である。そのためには多くのボランティアが必要だが、ボランティアの人達がいろいろな遊びを考え、それが子供たちと連れてきた親たちを喜ばせる。
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ブラジル人も多く参加してのぼん踊り |
「文化芸能・スポーツ広場」 では、フェスティバル・ド・ジャポンの文化芸能、そして日本の武芸のデモンストレーションを行う。生け花、茶道、書道、きり絵、折り紙、絵手紙、将棋、囲碁などいろいろなワークショップと展示が見られ、また、日本の伝統武芸である空手、剣道、合気道、柔術、ナギナタなどのデモンストレーションが披露されている。「熟年広場」 は、第三世代と呼ばれる熟年者のための広場。高齢者向けの健康相談やマッサージ、スポーツ (ゲートボール、マレットゴルフ、ラジオ体操) などいろいろなことがテーマに沿って行われ、それはすべて無料で行われる。また、ラジオ体操、フォークダンスなどのデモンストレーションも行われ、これに参加することもできる。
「フェスティバルの主舞台」 では、3日間を通じて50近くの団体が郷土芸能や音楽、太鼓、武術などを紹介する。和太鼓の演奏や、沖縄の伝統芸能である琉球国太鼓などは会場を沸かせる。また舞台ではニッケイコロニアで知られた歌手や、日本からの歌手などが舞台を盛り上げる。2013年の舞台では、日本からマルシアの公演もあり舞台を盛り上げた。
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主舞台 (マルシアの公演) |
World Cosplay Summit <spanstyle=’font-size:10.5pt;font-family:”MS Pゴシック”;mso-bidi-font-family:”Times New Roman”;mso-ansi-language:EN-US;mso-fareast-language:JA;mso-bidi-language:AR-SA’>(<spanlang=EN-US>WCS) という 「コスプレ」 の世界大会へのブラジル代表を決める大会もここで行われる。カーニバルの仮装に力を入れる国、ブラジルはコスプレの世界でも注目されている。ちなみにコスプレの世界大会は日本で開かれており、これまでブラジル代表は<spanlang=EN-US>2回、世界大会で優勝の栄冠に輝いている。
フェスティバル・ド・ジャポンを彩るのは 「ミス・ニッケイ」 の選出。サンパウロ全域から立候補する人が多いのだが、近年ではアマゾンのパラ州やマット・グロッソ州からなどの候補者もいる。このミス・ニッケイは山井ケンジ司会によるもので、ブラジル国内から30人以上の候補者が、ミス・ニッケイの栄冠を争う。
フェスティバルで最も人気があるのは、「郷土食広場」。日本の47都道府県と協賛団体である幾つかの福祉団体の参加した食広場で、ブラジルにある47ある都道府県人会が、郷土の食、また日本の料理を安価に提供するものである。材料など当地では手に入らないものもあるが、そこはいろいろ工夫し、普通、サンパウロでは食べることができないいろいろな郷土料理を食べていただこうと思っている。そして県人会のブースで手伝っているのは、ボランティアの皆さんの老若男女で、一世から二世、そして三世、いろいろな世代の人達が、自分のゆかりのある県人会のために食広場のブースを盛り上げる。
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郷土食広場 |
日本とブラジルの交流に成果
こうした大きなフェスティバルにはいろいろな問題が起こりがちだが、これをどのように解決するかがスポンサー探しとともに、フェスティバルの成果に影響を与える。このようにして県連の主催ではじまったフェスティバル・ド・ジャポンは、すっかりブラジルの地に根付き、この催しを通じて日本伝承文化の伝達、食べ物を通じての日本とブラジルの交流ができてきた。
このフェスティバル・ド・ジャポンを続けて行くには、母県の協力が必要である。例えば郷土食のレシピ (作り方) を持っていたからといって同じものが出来る訳ではなく、その郷土料理のできた背景とか歴史を伝えることも必要である。これからのことを考えると、母県の物産を紹介するアンテナショップも考えてよいのではないかと思う。昨年あたりからまだ少ないがいくつかの県や日本の業者が参加やリサーチを行っている。難題だが、海外の県人会に対する県側のさらなる力の入れ方が期待される。これを上手く解決するには、やはり県人会が母県との交流を密にすることである。
今年(2014年)はワールド・カップがブラジル各地で6月に行われ、来年は日本ブラジル修好120周年である。県連は日本とブラジルを結ぶ修好120周年と結びつけたイベントを、このフェスティバル・ド・ジャポンで展開したいと考えている。
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