『ブラジルから遠く離れて 1935-2000 クロード・レヴィ=ストロースのかたわらで』 今福 龍太&サウダージ・ブックス 『悲しき熱帯』で知られるレヴィ=ストロースが1935年のサンパウロ滞在中に撮った写真の再撮影を試みる日本の人類学者の二人の文章抜粋集。
長く道路建設に携わり建設企業を営む著者が、念願のアマゾン河探険行として支流アラグアイ川の奥地にボートで分け入った詳細な旅行記。
『移民の譜(うた) ―東京・サンパウロ殺人交点』 麻野 涼 次々に起きるブラジルと日本での殺人事件の背景には、戦後間もなく起きた日本人ブラジル移民間の勝ち組・負け組抗争と偽宮様事件、旧円紙幣売りつけ詐欺事件があったというサスペンス小説。ブラジル移民史やドミニカ移住問題で著作のある高橋幸春による小説だけに、ブラジルの描写は正確で一気に読ませる。 『ブラジル史』 金七 紀男 植民地期から近代を経て現代に至るブラジル通史。大学教科書を意図して政治、経済、社会、文化の側面から全体的に歴史を解説し、現代の問題点の背景を分かり易く解説している。
『ブラジル日系・沖縄系移民社会における言語接触』工藤真由美、森幸一、山東功、李吉熔、中東靖恵 移民社会での日本語、琉球語、ポルトガル語の言語接触、それから出てきたコロニア語の実態を分析した論集。均質な言語共同体を前提とする日本語問題をあらためて考えさせてくれる。 『「出稼ぎ」から「デカセギ」へ―ブラジル移民100年にみる人と文化のダイナミズム』 三田 千代子 ブラジルは、日本移民を70年の長期にわたり制度的に受け入れてきた唯一の国である。この100年のブラジルと日本との移民の社会文化史を追うことによって、去りし者=出移民と、来たりし者=入移民による、ヒトの移動によってもたらされた文化のダイナミックな変容を考察する。 『国会議員になった「隠れキリシタン」―時代に翻弄された日系二世の肖像』 高橋哲朗 太平洋戦争前の日本人移民から最初に生まれた二世である平田進の両親は、福岡県の隠れキリシタンのの里の出身である。平田はサンパウロ大学卒業後日本に留学し、戦後ブラジルに戻ってから州議会、連邦下院議員を20年務めた。二つの国にルーツをもつ日系ブラジル人としてアイデンティティに悩むこともあったが、両国の外交、経済、文化交流に貢献した姿を描く。 『100年―ブラジルへ渡った100人の女性の物語』 サンパウロ新聞編 移住初期に家事、育児、労働で家族を支え逞しく生きてきた女性たちの証言集。アマゾンから南部州までの市井の婦人100人の生き様を各2頁で、巻末に移民史年表が付く。日本人ブラジル移民100周年記念事業の紙上連載を日・葡語で集成したうちの日本語版。
在日ブラジル人の子弟と保護者が小学校に入る際に先生と学校生活の手続や規則などのやり取りをし、同級生と対話をする場面を、ポルトガル語・日本語対訳で会話を例示し、先生のためのポルトガル語入門とブラジル教育事情等の解説を付した有用なガイド。
『しのびよるシャーガス病 ―中南米の知られざる感染症』 竹内 勤・三浦左千夫 バルベイロ(サシガメ)を媒介とし、突然死を招く心筋症や結腸等の巨大化を起こす感染症は日系移民をも苦しめている。その実態調査に邁進している慶応大学医学部の熱帯医学専門家の啓蒙的な報告。一部スペイン語訳文も収録。(本誌2008年1月号の三浦助教による「ブラジルと私―シャーガスへの挑戦」をあわせ参照されたい)
『ネオ・トロピカリア ブラジルの創造力』 長谷川祐子ほか編 2008年に東京都ならびに広島市現代美術館で開催されたブラジル芸術の展覧会のカタログ。美術からモードに至る様々なアートを紹介。 『「もうひとつの失われた10年」を超えて ―原点としてのラテン・アメリカ』 佐野 誠 1970年代にチリ、アルゼンチン等は世界初の新自由主義経済改革に着手し、その結果は80年代の失われた10年であった。その構造改革とグローバリゼーション体験の分析から日本の低迷や中国の“ブラジル化”への警告をくみ取り、代替案を考察する。 『知られざる巨大市場 ラテンアメリカ』 山口伊佐美 一貫して海外での資金運用に関わってきた著者が、ラテンアメリカ経済の変貌を平易に説く。「今、ブラジルが熱い!」とその実力、完全復活の実情、日本企業の進出と経済動向を、現地視察体験を交えて解説。
『サッカー「王国」ブラジル ―ペレ、ジーコからロナウジーニョまで』 矢持 善和 ブラジルの大学を卒業し、天理大学で教鞭をとる傍らサッカー部長を務める、ブラジルサッカーファンの著者が情報を駆使して人文科学者の目で紹介するワールドカップでの歴史の全容。詳細な代表チームと名選手の成績等の軌跡データとサッカー用語集が付く。
『ブラジルのホモ・ルーデンス ―サッカー批評原論』 ブラジルとサッカーにも一見識をもつ文化人類学者によるブラジル・サッカーの評論。 『ブラス・クーバスの死後の回想』 マシャード・デ・アシス 今年が没後100周年になるブラジルで最も偉大な文学者の代表作の完訳。政治的野心を抱いた主人公の恋愛、家族、人生を語る回想の形を取る。巻末に著者と本書の背景と意義についての解説がなされている。
『故国を忘れず新天地を拓く ―移民から見る近代日本』天沼 香
日系ブラジル人の様々な分野の識者による講演と、学生、社会人の発言の記録。
ブラジル日本移民百周年記念写真集 『百年目の肖像』 ニッケイ新聞編 日本語・ポルトガル語併記、オールカラー。皇太子さまご訪問全取材、サンパウロ、パラナ、リオなどの記念式祭典、各地の100周年関連の文化・スポーツイベント、記念モニュメント建立、慰霊祭などを約600枚の写真、説明文で網羅し、臨場感豊かに紹介。
『リオデジャネイロ州日本移民100年史』 リオ州日本移民100史編纂委員会 リオ州の戦前、戦中、戦後移民通史と資料集。
『ブラジルの都市問題 ―貧困と格差を越えて』住田 育法監修 ブラジルの都市問題を、リオデジャネイロ、サンパウロ、ブラジリアを例に歴史、住宅・インフラ整備政策、不法占拠、その裏にある貧困と格差、都市自治といった様々な切り口から13人の研究者が分析、解説している。 『移民環流 ―南米から帰ってくる日系人たち』杉山 春 否応なしに外国人を受け入れなければやっていけない日本社会で暮らす39万人の南米人をめぐる犯罪、母国への犯罪者の逃げ帰り、子弟教育、就職などの問題を正面から取材したドキュメンタリー。
『サンパウロへのサウダージ』 クロード・レヴィ=ストローズ 後にアマゾンを取り上げた『悲しき熱帯』の名著で知られる著者による1930年代半ばのサンパウロ写真集と、訳者のブラジル省察、写真とをコラボレートさせた、二人の文化人類学者による、サンパウロの街路から立ち現れたSaudade(喪失と憧憬の感情)の静かな、知的刺激に満ちた探求。 『情熱のリオ ~ベテラン・サカオの半生記 とっておきのブラジルおもしろ裏話』 坂尾 英矩 サンパウロ総領事館で文化担当を長く担当する傍ら、ボサ・ノーヴァ等ブラジル音楽への深い造詣をもち、多くの音楽人と交流した著者だけが知る裏話の数々。
『brASIL-SICK』 宮沢 和史、仁礼 博 写真 バンドGANGA ZUMBAの移民100周年ブラジル各地でのコンサートツアー記。ブラジル音楽の紹介、各界の人へのアンケート等盛り沢山。
『ブラジル人のためのニッポンの裏技 ―暮らしに役立つ日本語便利帳』 松田 真希子著 ティアゴ・サレス・ピント訳 日本語の出来ない滞日ブラジル人が生活するために必要な言葉と情報をイラストを交え判りやすくポルトガル語、日本語とそのローマ字で紹介するきわめて有用な一冊。 “tudobem” 在日ブラジル人が日本社会にさらに溶け込むためにというのと同時に、日本人にブラジルの素晴らしさを紹介するという意図での日本・ポルトガル2言語月刊誌。第1号(N.816) は特集「みんなが大好きなブラジル100選」で、ふんだんなカラー写真でブラジルの魅力を紹介。 『燃料か食料か ―バイオエタノールの真実』 坂内 久・大江徹男編 地球温暖化対策の中で注目されているエタノールのブラジル、アメリカ、中国における生産、EUのバイオ燃料政策、東南アジアのパーム・バイオディーゼル、アメリカの環境政策、トウモロコシの飼料とエタノール問題、非穀物系エタノールについて判りやすく解説している。
『日本で最初の喫茶店 「ブラジル移民の父』がはじめた―カフエーパウリスタ物語』 長谷川 泰三 明治44年に銀座で開店し今に続いている喫茶の名店は、創業者で日本移民の父といわれる水野龍にサンパウロ州政府から無償のコーヒー豆が提供されたことに端を発している。日本での珈琲文化、喫茶店文化を生んだカフエーパウリスタの歴史を綴る。
『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』 遅野井茂雄・宇佐美耕一編 いわゆる左派-といっても多岐にわたるが―の成立の背景と課題をそれぞれの専門家がベネズエラ、ボリビア、エクアドル、アルゼンチン、チリ、ペルーとともにブラジルのルーラ政権について
『明日に輝く 日伯友好病院20年史』 サンパウロ日伯援護協会 1988年に設立された日伯友好病院の歴史と活動の記録。(サンパウロ日伯援護協会 |