ブラジル特報 2014年9月号より
辻本敏行<株式会社堀場製作所 生産技術部 海外研修生>

会社概要

私たちHORIBAグループは、世界27カ国38社でグローバルに分析・計測システムに関する製品とサービスを提供するリーディング・カンパニーです。市場は多岐に渡り、自動車計測、科学計測、環境・プロセス計測、医用計測、半導体計測に展開しています。堀場製作所は1953年に京都で創立し、2013年に創立60周年記念を迎えることができました。社是は「おもしろおかしく」。京都の文化をベースにして常に先端技術を開拓し、グローバルにビジネスを展開しています。

ブラジル進出
ホリバ・ブラジル社
ブラジル支社の創立は1997年にさかのぼり、グループ会社であるフランスの医療用血液検査装置メーカーABX社(現ホリバABX社)の試薬工場を基盤として誕生しました。今年4月で17周年を迎え、赤血球や白血球などの計測装置である血球計数装置分野で南米のトップメーカーに成長しました。営業およびサービスの拠点でもあり、血球計数装置の修理・整備・中古販売ビジネスも拡大しています。2011年には社名を「HORIBAInstrumentsBrasil,Ltda.」へ変更。環境・プロセス分野の製品である煙道排ガス分析装置や水質分析装置等と、科学分野の製品であるpHメーターや蛍光分光分析装置等も南米に拡販するなど、HORIBAグループの南米を統括する拠点に成長しました。

2014年には、血球計数装置用試薬の増産に対応するため、サンパウロ市からサンパウロ州郊外のジュンジアイ市へ移転・拡張し、試薬の年間生産能力を4倍に拡大しました。新拠点のオープニングセレモニーは、日本人移民の日である6月18日に開催しました。
ブラジル支社の創立から事業拡大を続けられた一方で、ブラジルの大きな為替変動による苦い経験もあります。2000年ごろにはロシア通貨危機やアルゼンチンの債務不履行等の影響により、財務は厳しい状況が続きました。そのような中でも、堅調なブラジル経済を背景とした医用分野の成長とともに、回収条件の改善やブラジル-フランス間の取引条件の見直し等、種々の合理化策を推進し、危機を乗り越えてきました。

現在、従業員数は128名(2014年6月現在)。その内、日本からの駐在員は中堅2人のみと、現地従業員主導で運営しています。この経営方針はブラジルだけでなく、HORIBAグループ全体を見ても同様です。全従業員の6割は日本人以外であり、単に安価な労働力を海外に求めるのではなく、各国の文化に根ざした様々な「人財」(HORIBAグループでは、社員は財産という思いを込めて“人材”ではなく“人財”と表現しています)を大切にしています。ジュンジアイ市の新拠点の立ち上げも現地人財が活躍し、ブラジル国家衛生監視庁(ANVISA)から、医用製品の生産承認を早期に取得することができました。

もう一つのブラジルの拠点であり自動車計測分野を担う「TCAHORIBASistemasdeTestesAutomotivosLtda.」は、2005年に設立しました。自動車メーカーなどを販売ターゲットとした巨大なエンジン試験コンテナの生産・販売が事業の中心であり、南米でのシェアは100%(自社調べ)を誇ります。売上高の3割は南米以外で、アメリカやインド等、グローバルに展開しています。また、自動車計測分野の製品であるエンジン排ガス測定装置やエンジン性能試験システム等の販売・サービスにおける南米拠点としても事業拡大を進めています。従業員数は58名(2014年6月現在)。

HORIBAグループでは「HORIBAGroupisOneCompany」をテーマに掲げ、南米においてもブラジル2社の協力体制を強化し、効率化と一体化による相乗効果を高め、企業価値向上をめざしています。
創業者堀場雅夫の思いのこもった社是「おもしろおかしく」は、「人生のもっとも活動的な時期を費やす仕事にプライドとチャレンジマインドを持ち、エキサイティングに取り組むことによって人生の満足度を高め、よりおもしろおかしく過ごせる」という思いがこめられています。海外グループ会社へも「JoyandFun」と訳して浸透しています。ブラジルの人財もこの社是を胸に、新拠点を活用して当社のオリジナリティをさらに磨くことで活躍の場を広げ、ブラジルの発展に貢献します。