演 題 : ブラジル経済情勢の見方、及び貿易・投資の動向

各種経済指標が示す如く、ブラジル経済は低迷している。GDP成長率は、2014年0.1%、2015年見込みマイナス1%、スタグフレーション(景気後退&インフレ)が顕在化し、為替は2004年以来のレアル安、民間消費支出が11年ぶりにマイナス成長、工業生産高も右肩下がり、失業率は8%台へ、2014年度の貿易収支は2000年以降で初の赤字、経常収支の赤字幅はレアルプラン(1994年)以降で最大。

貿易動向を復習すると、2014年の輸出額は前年比マイナス7%(一次産品の輸出量は前年比4.2%増なるも価格下落のため)、仕向地でみるとラテンアメリカ諸国が前年比18%減、アジアも5.3%減、輸入額は前年比4.5%減、対日貿易についても、輸出額は前年比15.6%減、輸入額も16.7%減。また貿易構造も1994年(一次産品25%、完成品58%、半製品16%)から2013年(一次産品47%、半製品13%、完成品38%)へと、輸出における一次産品依存率が上昇(25%⇒47%)

外国(直接)投資も、2014年は前年比マイナス25.1%と大幅に減少している。
一言でいえば、コモディティ(一次産品)が核だったので、その核がしぼんだことで、国内需要も縮小し、投資意欲も減退した。

改めて、欠けていたものを指摘すれば、①生産性、②開放性、③ブラジルコスト改善、となり、解決(打破)すべき課題として再認識されたことは、①保護主義的措置、②ビジネスへの国家の過度な関与、③内向きな通商政策、である。

こうした様々な要因の結果、ビジネス環境比較の順位で、ペルー35位、メキシコ39位、ベトナム78位、….ブラジル120位(アルゼンチンは124位)となっている。
とはいえ、景気が悪化した1998-99年と比較して異なる点は評価できる、すなわち、潤沢な外貨準備(対外要因への耐性)、財政立て直しの重要性についての強い認識、だ。また、レアル安を利用した海外投資家による買収案件が増加している点は、“したたかさ”を再認識している(欧米企業主体だろうが、明細は不明だ)。

ペトロブラス汚職問題、財政再建策の行方、輸出促進策の行方などには注目すべきであるが、ブラジルの長期的ポテンシャルは不変であり、家計消費規模のポテンシャルは証明済みであることは、強調しておきたい。つまり、「冬の時代」には冬ならではの過ごし方があり、ビジネスの展開先としてのポテンシャリティは十分ある、と考える。

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竹下幸治郎JETRO米州課中南米主幹 講演会

日 時2015年6月26日(金)
14:00~15:30
講 師JETRO 海外調査部米州課 竹下幸治郎 主幹
演 題ブラジル経済情勢の見方、及び貿易・投資の動向
会 費会 員:2,000円
非会員:3,000円
※会費は当日会場にて申し受けます。領収書もご用意します。
会 場フォーリン・プレスセンター会見室
住所:千代田区内幸町2-2-1日本プレスセンター6階
電話:03-3501-3401
東京メトロ千代田線、丸の内線、日比谷線「霞が関」
都営地下鉄三田線「内幸町駅」