演   題:アマゾナス州の魅力~開発の歴史と現状、今後の展望
講 演 者:山岸 照明 氏
      元アマゾナス日系商工会議所会頭、山岸コンサルタント社代表、アマゾナス工業連盟会長補佐

 

講演会担当註:アマゾナス日系商工会議所元会頭(2003年~2007年)現顧問、アマゾナス工業連盟会長補佐として活躍中の山岸氏は、1969年からマナウス在住で、アマゾン地区経済開発の功労者として著名だ。アマゾンに関して“生き字引”である山岸氏にアマゾンの魅力について語っていただいた。

 

山岸 照明 氏

山岸 照明 氏
(山岸コンサルタント社代表、アマゾナス日系商工会議所元会頭)

アマゾナス州の地理経済をざっとおさえておくと、面積は日本の約3倍(そのうちの55.5%が保護区域)、人口は約4百万人、一人当たりGDP(2014年)22,373レアル、だ。

アマゾナス州はブラジルのなかでも日本人への信頼感情、親日感情が高い州だが、その背景として1930年から開始された日系移民が、1936年、ジュート(黄麻、インド麻)の栽培に成功し、その結果、コーヒー袋の輸入代替産業が育った、という大きな貢献があった。また、第二次大戦中、戦略物資ゴムのアマゾンにおける再開発を目論んだ米国から補助金が投入されたことで、工業部門の開発が始まることになったが、本格的な地域開発が進められるのは、軍事政権による租税特別措置工業団地ZFM(マナウス・フリーゾーン)の設立(1967年)以降である。

マナウス経済特区の主な税制恩典としては、1)輸入税免税(輸入部品を使用した製品を域外に出荷する場合、輸入税の88%控除)、2)工業製品税免税、3)ICMS(商品流通税:州税)は製品により55%~100%還付、4)法人所得税75%控除、を指摘できるが、この優遇時限立法は、Dilma政権の時、更新され、期限は2073年まで延長された。

1970年代初頭にSHARPが進出、さらにSANYO,HONDAというように日本勢が先陣を切ったが、現時点では、稼働している約550社のうち、32社が日本進出企業であり、ZFM全体に占める日系企業の割合は、総売上の20~25%、雇用ベースでは18~20%を維持している。ちなみに、ZFMの総売上高は、2011年の410億ドルをピークとし、昨年2016年は218億ドルとなっている。

ここにきて目立つのが米国の投資意欲であり、2015年度は、日本が8億6千万ドルであったのに比し、米国は12億8千万ドルと、投資国として初めて一位となった。米国がアマゾンの資源開発に投資している現実が明らかだ。

マナウス地区において始められているプロジェクト(すなわち、投資機会のある分野)を列記すると、1)グァラナ生産、2)造船企業誘致、3)水産加工、養殖用魚粉、4)材木産業、家具製造、5)非鉄金属開発、6)製紙産業、7)化粧品、生薬開発。

また、環境保全に関連して、アマゾン地区における森林保護に伴うCO2排出権は州法では認められたが、連邦レベルでの承認はこれからだ。

最後になったが、アマゾナス州の人的資源の質についてお話しておくと、日系企業の現場でも指摘されていることであり、更には国際的な人材開発コンサルタント業者も指摘したことだが、マナウスの工場現場で働く人たちは、視力がいいことに加え手先も器用で、労働生産性では世界でも上位に位置しているのだ。

 

日  時 2017年4月21日(金)
15:00~16:30
会  場 米州開発銀行アジア事務所会議室

住  所: 千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル16階
アクセス:都営地下鉄三田線「内幸町」駅 A6出口・・直結
JR山手線・京浜東北線・東海道本線「新橋」駅 日比谷口・・徒歩6分
東京メトロ千代田線・日比谷線「霞ヶ関」駅 C4出口・・徒歩3分
東京メトロ丸ノ内線「霞ヶ関」駅 B2出口・・徒歩5分

会  費 【個人会員】1,000円
【法人会員】2,000円
【非 会 員】3,000円
お問合せ 日本ブラジル中央協会 事務局 宮田・上条
E-mail:info@nipo-brasil.org