日時:2018年10月4日(木)15:30-17:30
会場:長島・大野・常松法律事務所

講師

長島・大野・常松法律事務所から以下の弁護士

TozziniFreire Advogadosから、以下の通り、4人の弁護士

 

 

  1. 「日本企業がブラジル進出に際して留意すべき事項」(講師:笠原弁護士)
    ①コンプライアンス法(CCA腐敗防止法)2014年1月から施行されているが、法人のみを対象。汚職・違法行為に関与すれば、制裁金額(但し刑事罰はなし)を課せられ、民事上の責任(違法な利益の放棄、法人解散など)。
    リニエンシー(自主的申告による減免)で制裁金の減免(最大で3分の2)、外資がブラジル企業を買収する場合、買収額を上限としてCCA上の責任を負担する可能性あり。②Lava-Jato汚職捜査
    ブラジル史上最大の汚職捜査の捜査対象は2003年から2012年までのためか、CCAは適用されていない。
    一方、2013年8月制定された組織犯罪法によって、賞金付き告発(一種の司法取引)は導入され、大物政治家やビジンスマンによる司法取引によって捜査の範囲が急速に拡大した。

    ③労働法改正
    1943年に制定された労働法は、労働者を保護する制度を複雑にしており、企業者に対し様々な労務コスト増(解雇コストなど)をもたらし、労働紛争が頻発していた。
    それが、2017年の労働法改正によって、労働訴訟は40%も減ってきている。

    ④複雑な税制
    連邦税、州税、市税が複雑になって、時には重複する多数の税制が存在する。州税は州によって少しづつ異なっている。税務紛争は行政レベルと司法レベルの手続きがあり、いずれも時間がかかる。

    ⑤複雑な許認可
    許認可、手続きが複雑で時間がかかる。(例えば、新たに子会社を設立するための当局への登録に数か月かかることもある。)また通関手続きについても、同様だ。

  2. ブラジル弁護士4名の講演要旨
    ①ブラジルのインフラ部門
    今後20年間の投資ニーズは8兆7000億レアルと莫大なもの。インフラ投資額の対GDP比では、ラテンアメリカ2%、インド4%、中国6.5%と、ブラジルを含むラテンアメリカのインフラ投資のニーズに“成長余地”があることがわかるが、直近の財政赤字は、2018年▲1,481億レアル、2019年▲1,233億レアルとなっており、最大の融資銀行BNDES(社会経済開発銀行)の融資能力が大きく低下してきている。
    インフラ部門の改善に向けた取り組みとして、国会(立法府)では規則の改正(公務員の負担最小化、入札法、環境ライセンスなど)、司法府による停止中の公共事業は約7,000もあるが減りつつあり。

②新しい投資機会
Lava-Jato捜査の容疑者たる大手ゼネコンが、自社関連のインフラ資産の売却を余儀なくされ、その結果鉄道、道路、空港、港湾、エネルギー関連などの分野において、その“処分物件”への投資機会が生まれている。
こうした投資を検討する場合、通常のドゥーデリ以上にDue diligence on complianceに留意する必要がある。