2018.12.11
東京新聞朝刊3面

コーヒー農場経営 日本との懸け橋
岩崎徹さん(68)

ブラジル南部サンパウロ州カンビナスで20年余りコーヒー農場を経営してきた。ドラマのロケ地となり、栽培の歴史も学べるため、子供から官僚までブラジルと日本の見学者が大勢訪れる。親善交流に尽くしたとして、ブラジル政府から勲章を授与された。
父方の曽祖父は三菱グループ創設者、岩崎弥太郎の弟、矢之助氏。自身も大学卒業後に三菱商事に入社。語学研修生として1970年代、ブラジルに滞在し「明るく情熱的な国民性、土地柄にほれ込んだ」
いったん日本に戻った後、再びブラジルに赴任。岩崎家本家が昭和初期に買収した農場の経営危機を知った。立て直しを決意し、96年に退社。農業は素人でも、肥料調達や収穫物の販売、資金管理などには自信があった。だが、気候や自然に左右される仕事は「予想をはるかに超えて大変だった」。
苦労を重ねたが、ようやく経営も安定。現在は東京ドーム170個分の農地で、ブラジル人従業員と約180万本のコーヒーの木を育てる。年の瀬を迎えた今年はブラジルへの日本人移住110周年。「両国の懸け橋となる農場を残したい」