会報『ブラジル特報』 2013年5月号掲載
特集 日本ブラジル中央協会創立80周年記念シンポジウム
◇プレゼンテーション Ⅲ

                                   二宮 康史   


 

ブラジルの自動車市場は2012年に世界4位の380万台を記録した。ドイツを上回って大きな話題になったが、その道のりは平坦ではなかった。月別販売動向をみると、1215月は前年を下回ったが、6月以降急回復し過去最高を記録するなど、浮き沈みが激しい。

 その理由は、工業製品税(IPI)の減税効果による販売増加だ。2012年後半の税率を見ると1,000cc以下の場合、それまでの7%からゼロ、2,000cc以下もフレックス車が11%から5.5%に、ガソリン車が13%から6.5%にそれぞれ下がった。

 販売台数の増加は輸入車が売れたことも大きい。ただこれも好不調の波が激しい。新車販売に占める輸入車の割合は2008年に13%だったものが11年には23%に伸びたが、12年は20%に下がっている。これはIPI税率が30%に引き上げられたためだ。
 
 2012年のブランド別販売ではフィアット、フォルクス・ワーゲン、GM、フォードのいわゆるビッグ4は比較的影響が少なかったが、韓国車は5割減と中国車は9割減と激減した。もちろん11年末の輸入車向けIPIの増税だ。

 さて個人向け自動車ローンの金利は20114月の30%超から12年末には20%程度に下落しており、これが販売増加に寄与している。

日本貿易振興機構(JEtrO) 
海外調査部中南米課課長代理。
200307年ブラジル駐在



 ブラジル市場の最近の特色は、各メーカーが市場投入する車種が圧倒的に増えていること。型落ちばかりだったのが新車がずらりという時代だ。これからさらに業界の競争は激化しそうだ。