会報『ブラジル特報』 2008年5月号掲載 伊藤博夫(日本アマゾンアルミニウム㈱常勤監査役、当協会監事) |
アマゾン河口のパラ州ベレン市にほど近いバルカレーナの地に、日本ブラジル両国のナショナル・プロジェクトのランドマークのひとつ、アマゾンアルミ・プロジェクトがある。 コンパニア・バレ・ド・リオドセ(CVRD、現 VALE)をブラジル側パートナーとして、アマゾン地域に豊富に賦存するボーキサイトおよび水力の2大資源を活用し、ボーキサイト→アルミナ→アルミニウムの一貫生産を行うプロジェクトで、日本にとってはアルミニウム資源の安定確保、ブラジルにとってはアルミニウム自給体制確立による国際収支の改善と、北部アマゾン地域開発という重要な目的と意義を有する。 アルミニウム製錬を行うアルブラスでは、南米最大級となる年産45万トンの設備がフル操業中である。生産されたアルミニウム地金のうち、日本には毎年22万トンを輸出しており、これはわが国アルミニウム輸入の約10%を占める。姉妹会社であるアルノルテは、アルブラスに隣接し、アルミニウム地金の主原料であるアルミナを生産している。アルミナ年産439万トンは世界一の生産規模を誇るが、さらに本年中に626万トンまでの増強工事が完成する予定である。 元リオドセ社会長・元ブラジル鉱山エネルギー大臣のエリエゼル・バチスタ氏は、日本アマゾンアルミニウム30年史に寄せた回顧録の中で「信頼の勝利」と謳った。国を超えた人と人との交流、ともに築き上げた信頼関係こそが要であり、この信念は日本とブラジルの一大共同事業であるアマゾンアルミ・プロジェクトの中に今日も脈々といきづいている。 |