会報『ブラジル特報』 2013年3月号掲載 日系企業シリーズ 第 23 回 北原 健二(Yanmar South America Industria de Maquinas Ltda 社長)
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ブラジルで56年 ヤンマーのブラジル進出は、1957年の Yanmar do brasil 設立に始まり、今年で56年を迎えます。1960年には、サンパウロ州インダイアツーバ市にエンジン工場を完成し、今日まで70万台以上のディーセルエンジンをブラジルで生産して参りました。また2007年に、現在のYammar South America に組織改変し、エンジン、農業機械に加え、ディーゼル発電機セットの製造や、小形建設機械、船舶用エンジンの輸入販売も本格的に開始いたしました。 ヤンマー最初の現地法人 ブラジル進出のきっかけは、終戦後まもなくして、日系移民の方々から農業用エンジンの引き合いが多数あり、それを受けて1954年から市場調査を行い、当時ヤンマーの創業者で社長であった山岡孫吉が決断したことにあります。しかし、その当時、ヤンマーには海外といえば、台湾に駐在事務所があった程度でしたので、遠いブラジルでの会社設立と工場建設は、社運を賭けた一大イベントでありました。 “石の上にも3年”と命じられ、設立メンバーとして家族とともにブラジルに渡った経理担当の後藤 隆は、その後、サンパウロ日本商工会議所の会頭などを歴任し、88歳の現在も、サンパウロに在住しております。 工場設立から苦労を重ねて5年目で、ようやく1万台の生産に到達した後は、ブラジルの高度成長と政府の国産品保護策の恩恵を受けて、オイルショックまでは、「増産、増産で、作ったものは売れた」(後藤談)という順風の時代がありました。この時期、ヤンマーのサッカー黄金時代に、釜本選手とのコンビで有名なネルソン吉村(故人)は、元ヤンマーブラジルの社員で、日系人の草サッカーチームで天分を認められ日本に渡りました。 また、1970年~80年代初めにかけてアマゾン川を中心に、ヤンマーの日本製小型船舶用エンジンが年間1千台を超える勢いで販売された時期があります。現在でも、その当時のエンジンが、現役で一部稼動しており、“YAMMAR”は、信頼のブランドとして、水上輸送や漁業の分野でも広く定着しています。 全方位でヤンマー製品を推進 最初の現地生産は、単気筒の横型水冷ディーゼルエンジンから開始しましたが、その後、多気筒エンジン、ディーゼル耕運機、小型乗用トラクターの製造も手掛け、現在は、ブラジル全土で約500のヤンマーディーラーが、製品・部品・サービスの提供を行っています。 2007年には、常用・非常用の電力源として、日本製の低燃費・低エミッションエンジンを搭載した60kwまでのディーゼル発電機セットの現地生産を新たに開始しました。また、電気に代わり、都市(天然)ガスを燃料としてビルの冷暖房空調を行う、ガスヒートポンプセットの販売も、豊田通商を通じで本年より本格的にスタートします。 こまた、建設機械の分野でも、都市部を中心に小形建機の需要が伸びており、ヤンマーも2009年から8トン未満の小形バックホーの輸入販売を開始いたしました。 船舶用については、レジャー分野のヨット用エンジンでは既に寡占に近いシェアを獲得しております。また、業務用分野においては、現在は、主に400馬力以上のエンジンを、フリーゾーンのマナウスを中心に販売しておりますが、今後は、需要の拡大が見込まれるリオデジャネイロなどの沿岸部での販売も期待しています。
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