会長年頭の挨拶

日本ブラジル中央協会
大前 孝雄 会長
日本ブラジル中央協会のホームページにようこそ!
当協会は1932年(昭和7年)に設立され、84年の歴史を有するブラジルとの交流団体です。ブラジルに関する政治・経済から文化活動に至るまで、様々な事柄にきめ細かく対応しています。法人会員は120社余り、個人会員は約300人。私はこの大きな組織のとりまとめ役をしています。世界最大190万人の日系人移民がいるブラジルとの交流については多くの話題がありますが、ここではごあいさつを兼ねて、最近の事情に触れてみます。
2016年はブラジルにとって様々な面で大きな混乱と変化に満ちた1年となりました。
無事の開催を危ぶむ内外の不安の声をよそに、リオでのオリンピック、パラリンピックは結果として成功裏に終了、ブラジル人の自尊心の回復とブラジルの国際的イメージ向上に繋がり、やはりブラジルには大きなポテンシャルがあることが実証されました。一方、資源価格の低迷と国内景気の冷え込みによって加速した経済危機、そしてペトロブラスを舞台とした史上最大の汚職に端を発する政治混乱。16年8月末にはルセフ大統領の弾劾が成立、13年に及ぶ左翼政権が終焉を迎えました。
その後を継いだテメル政権は政治・経済改革を進め、企業、消費マインドは改善の兆しを見せ始めており、徐々にではあるものの底打ち感が出つつあるように感じます。一方で政財界に広がる汚職疑惑が国民の政治不信を一層根深いものにしており、この不信を払拭し一連の政策が効果を発揮する状況を迎えられるかどうか、これからが正念場と言えるでしょう。
外交面では2014年、安倍総理が日本の総理としては実に10年ぶりにブラジルを公式訪問しました。その後2度にわたるルセフ大統領の訪日キャンセルもあり、長らく懸案となっていたブラジル大統領の日本公式訪問がテメル新大統領によって16年10月に実現したことは新政権の我が国に対する大きな期待を感じさせる出来事でした。
こうした両国首脳の相互訪問が今後官民両レベルでの交流を加速させることを期待しています。我々としてもこのトレンドに乗って政治・経済分野は勿論のこと、社会、文化、芸術、教育等より幅広い分野での両国間交流にこれまで以上に貢献していきたいと思います。
当協会も着実に会員数が増加し、会員の皆様とのコミュニケーションの媒体としての『ブラジル特報』、そしてこのホームページも質・量ともに充実したものになっています。さらに各種講演会、ランチョン・ミーティング、会員懇親会、コンサートなど、その活動もより活発かつ多岐に亘るものとなってきました。まだまだ改善すべきこと、やるべきことは沢山あり、引き続き広く会員の皆様の声を反映させながら活動の充実を図りたいと考えております。
2018年は日本人の移民110周年を迎えます。日本政府においては日本と中南米の架け橋としての日系社会の重要性を再認識し、連携強化を進めようとの機運が高まりつつあります。こうした歴史の上に立って当協会が果たせる役割はもっと大きくなると確信しています。日伯関係強化という目的を共有する内外諸団体、組織との交流・連携をこれまで以上に進め、そのシナジー効果を当協会の活動に取り込んでいきたいと思います。
ブラジルの政治・経済はしばらく予断を許さぬ状況が続くと予想されますが、我々としては困難な時こそ好機、と捉え、ブラジルとの関係がより緊密かつ強固なものとなるよう、微力ながら期待される役割を果たしていきます。皆様の力強いご支援を心よりお願い申し上げます。
(平成29年4月)
歴代会長の紹介
初代総裁 | 高松宮 宣仁親王殿下 | (昭和7年~18年) |
初代会長 | 蜂須賀 正詔侯爵 | (昭和7年) |
2代会長 | 斉藤 実子爵 | (昭和7年~12年) |
3代会長 | 徳川 頼貞侯爵 | (昭和12・年~18年) |
一戦時中事業停止一 | ||
4代会長 | 澤田 節蔵 元駐ブラジル大使 | (昭和24年~50年) |
5代会長 | 土光 敏夫 経団連会長 | (昭和50年~58年) |
6代会長 | 田付 景一 元駐ブラジル大使 | (昭和58年~平成6年) |
7代会長 | 吉田 健三 元駐ブラジル大使 | (平成7年~11年) |
8代会長 | 小村 康一 元駐ブラジル大使 | (平成11年~17年) |
9代会長 | 清水 慎次郎 元三井物産社長 | (平成17年~25年) |
10代会長 | 大前 孝雄 三井物産特任顧問(元三井物産副社長) | (平成25年~ |