味の素とブラジルのお付き合いは57年の長きにわたる。当初はブラジルの市場に注目していたわけではなく、日系人に対して創業3代目鈴木三郎助の強い思い入れがあったからだ。1954年にはサンパウロに駐在員事務所を開設、2年後に輸入販売会社をつくって味の素製品をブラジル市場に投入した。そのころの日本からの輸出は月間1トンぐらいにとどまっていた。 1977年にブラジルで初のリメイラ工場を稼働させた。現在はグルタミン酸、アミノ酸、飼料用リジン事業などを5工場で展開している。ブラジルではハイパーインフレや債務危機など経済混乱に遭遇したが、味の素食品(調味料・飼料)と日清味の素アリメントス(即席ラーメン)の2つの会社を軸にして、80年代後半から内需型の消費者向け製品開発を強化した。 たとえば、調味料は当初、日系人や日本人駐在員を対象に商品開発していたが、徐々にブラジル人の趣向に合わせた味付けの調味料に切り替えた。味の素食品だけを取り上げると2011年は前年比12%増の10億ドルの売上高を達成した。 また日清味の素アリメントスの即席ラーメンも、日本とは異なる味付けにし、年間12億食を売り上げている。ブラジル全体で20億食が売れているので、国内シェアは約6割ということになる。
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海外職業訓練センター(OVTA) 国際アドバイザー、元味の素 ラテンアメリカ本部長。 ブラジル、ペルーなど 海外駐在通算26年 |
味の素は、次の海外展開として西アフリカを狙っている。ブラジルとアフリカ大陸はもともと繋がった大陸で、食文化、習慣などが似ている。さらには人口も急増している。1980年代からブラジルからアフリカへの輸出を開始したが、これを強化しナイジェリアのラゴスに包装工場を稼働させた。コートジボアールも視野に入れている。
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